出典:町田 尚子『ネコヅメのよる』/WAVE出版
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ネコヅメのよる』のご紹介です。
ある日の夜。
猫たちが空を見上げると、そこには……
猫の秘密が描かれた、猫好きならニヤリとしてしまうような1冊。
ファンタジックな猫たちの夜のお話です。
愛猫家としても有名な画家、町田尚子が贈る、猫好きによる猫好きのための絵本。
絵本『ネコヅメのよる』の情報
出版社:WAVE出版
出版年:2016年5月
ページ数:32ページ
おすすめ対象年齢:4歳、5歳、大人
読み聞かせ:3歳から
『ネコヅメのよる』のあらすじ
お昼寝中に「おや?」
毛づくろいの途中に「あれ?」
ある日、ネコは気付きます。
「もしかして……そろそろかもしれない」
そしてその夜。
「まちがいない こんやだ」
確信した猫は、そうっと家を抜けだし出かけていきます。
大急ぎで外に出ると……
あっちからもネコ。
こっちからもネコ。
大勢のネコは、みんなどこかへ向かっているようです。
1カ所に集まり、空を見上げるネコたち。
そして、夜空をおおった雲が風に流されて……
「わあ! でた!」
興奮したネコたちが一斉に立ち上がります。
そこに浮かんでいたのは……
絵本『ねこづめのよる』の内容と感想
表紙は、ちょっぴり怪しげでミステリアスな雰囲気。
なんだか怖そうな絵本……
いえいえ、そんなことはありませんよ!
写実的に描かれた猫、ねこ、ネコ。
かわいい猫がたくさん登場する絵本なんですから。
この絵本は猫好きによる猫好きのための絵本。
ファンタジックな猫たちの夜のお話です。
迫力満点どアップの猫の顔など、アングルも特徴的。
少ない文章で構成されていて、その分、魅力的なイラストに引き込まれます。
そして猫たちが見上げていたのは……
空に浮かぶ三日月……ではなくて、ネコの爪!
そう、ソワソワした猫が心待ちにしていたのは、絵本のタイトルにもある「ネコヅメのよる」
さながら、猫たちの皆既月食みたいなものなのかしら。
興奮して立ち上がった猫たちの表情もたまりませんね。
さらにページの隅々までよーく見ると、著者の相当な猫好きが伺えます。
どの部屋にも無造作に置かれた猫じゃらし。
ごはん皿のそばには食べこぼし、猫用ドアに猫トイレ。
猫好きならば納得の細かい描写もみどころです。
おまけに、たくさん集まった猫たちの中には、地域ネコの印である耳先カットの猫までいて。
ほんと細かいところまでこだわって描かれているのもポイント。
ちなみに主人公猫のモデルは、著者の飼い猫であるスコティッシュフォールドの「白木」さん。
猫がすき! ちょー猫がすき!!
そんな人にぜひ1度は読んでほしい、おすすめの猫絵本です。
受賞歴
- 第9回 MOE絵本屋さん大賞2016 第6位
- わかやま絵本大賞2017 第3位
- 第27回 けんぶち絵本の里大賞 びばからす賞
三日月……じゃなくて、猫の爪
月の模様がウサギにみえる、なんてのはよく聞く話。
だけど三日月が猫の爪にみえる、はあまり聞いたことありませんよね。
でももしかしたら、ぼくたち人間にはみえないだけなのかも。
猫にはちゃんと猫の爪にみえているのかもしれないね。
もちろん人と猫では見えている景色か違う。
だけどおなじ人間同士だって、一人ひとり違って見えていたりして。
ぼくたちが見ている世界って、きっとみんな一緒じゃない。
自分の考えや価値観というフィルターをとおしてみているものだから。
それこそ猫好きな人には三日月が猫の爪にみえたりさ。
案外、おなじ人だって、その時々で違っているのかも。
知らなければ何とも思わなかったことでもね。
1度意識してしまうと、そうとしか見えなくなることもあって。
もしかしたら、これから三日月を見るたびに猫の爪にみえるかもしれないよ。
三日月が猫の爪にみえる。
まあ、たまにはそんな夜があってもいいよね。
以上、猫たちの秘密、教えます 猫好きによる猫好きのための猫絵本『ネコヅメのよる』のご紹介でした。
おしまい。
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