出典:佐野 洋子『おじさんのかさ』/講談社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『おじさんのかさ』のご紹介です。
雨がふっても、おじさんが傘をささない……?
お気に入りの傘が濡れるのが嫌な、ちょっぴり変わったおじさんのお話です。
小学校1年生の国語の教科書にも掲載されていた人気作。
大人も子どもと一緒に楽しめる、クスッと笑えるユニークなロングセラー絵本です。
絵本『おじさんのかさ』の情報
『おじさんのかさ』のあらすじ
おじさんにはお気に入りの傘がありました。
黒くて細くてピカピカ光った立派な傘です。
出かけるときはいつだって傘を持ち歩きます。
だけど、どれだけ雨がふっても傘をさしません。
おじさんが濡れてしまっても、傘を抱きかかえて守ります。
なぜなら、傘が濡れてしまうから……
ある日、おじさんが公園で休んでいると雨がふってきました。
そこに小さな男の子がやってきて「いっしょに いれてってよ」と言いました。
傘を濡らしたくないおじさんは聞こえないふり。
すると小さな男の子のお友だちやってきて、一緒に歌いながら帰っていきました。
「あまが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン」
本当にそんな音がするのかな?
子どもたちの歌をきいたおじさんは、好奇心に負けてはじめて傘を広げてみました。
すると……
![ojisan-kasa.1 絵本「おじさんのかさ」の中身その1](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2018/05/ojisan-kasa.1.jpg)
絵本『おじさんのかさ』の内容と感想
講談社の創作絵本シリーズの1冊。
『100万回生きたねこ』でも有名な佐野洋子さんの絵本です。
シルクハットに黒いコートを着たイギリスの紳士のようなおじさん。
でもお気に入りの傘が濡れるのが嫌で、傘をさそうとしない、ちょっぴり変わり者。
「大切だから大事にしたい」
「大事にしたいからこそ使えない」
そういう気持ちはよくわかります。
そして、おじさんにとってその大事なものが傘だった。
何が大事かなんてその人にしかわかりませんから。
他人があれこれ言うものじゃないですよね。
だけど傘なのに、雨がふってもささないってのもねえ……
傘を守って自分が濡れてるんじゃ本末転倒だよ。
「ちょっと しつれい、そこまで いれてください」
雨がやまなければ知らない人の傘にいれてもらったりまでして。
そんなおじさんも、子どもたちが歌っていた雨の歌に誘われてついに傘をひらきます。
そして、お気に入りの傘が雨に濡れたところをみて「かさらしいじゃないか」とご満悦です。
おじさんは今までは雨の日が嫌いだったはず。
だってお気に入りの傘が濡れてしまうから。
だけどもう雨の日が待ち遠しくて仕方がないんじゃないのかな。
だっていくらでも傘をさせるんだからね。
おじさんが「おっほん」と聞こえないふりをするところなんて、とってもチャーミング。
大人も楽しめる、雨の時期に読みたくなる絵本です。
受賞歴
- 厚生省中央児童福祉審議会推薦
- サンケイ児童出版文化賞推薦賞
- 全国学校図書館協議会選定図書
- 日本図書館協会選定図書
- 日本子どもの本研究会選定図書
![ojisan-kasa.2 絵本「おじさんのかさ」の中身その2](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2018/05/ojisan-kasa.2.jpg)
大切すぎて使えないもの、ありませんか?
大事なものを大切にしたい。
傷つかないように、壊れてしまわないように。
大切すぎて逆に使えない。
そういうものってあったりしませんか?
だけどね、ものにはそれぞれ「役割」というものがあるんです。
その「役割」を果たした時が、もっともそのものらしくて良い。
やっぱり傘は雨の日にさしてこその傘ですよね!
眺めているだけじゃ本当の魅力はわからないから。
なんだってそう、見合った使われ方をしてこそ美しいんです!
必要以上に大事にしてしまうのはさ、その良さを奪ってしまっているようなもの。
持つ人にとっても、もの自身にとっても窮屈な思いをするだけだから。
でもそれって、なんだか子育てに通じるものがあるのかな。
大切だから過保護になりすぎちゃうのと似てる気がしませんか。
子どもの役割は、いっぱい遊ぶこと、失敗して学ぶこと。
大事にしすぎて失敗しないように安全な道ばかり。
将来を案じて遊ぶ時間を削ってまで無理に勉強させたり。
それって結局、おじさんの傘と同じだったりするんじゃないのかな。
広げてみればいいんだよね。
おじさんの傘みたいにさ、きっとそれぞれの良さを再発見できるから。
以上、大切だから大事にしたい 大人も楽しめるロングセラー絵本『おじさんのかさ』
のご紹介でした。
おしまい。
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