絵本さんぽ

〜絵本ソムリエのおすすめ絵本紹介〜

弱さを克服する勇気をもらえるロングセラー絵本『ラチとらいおん』

絵本「ラチとらいおん」の表紙出典:マレーク・ベロニカ『ラチとらいおん』/福音館書店

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『ラチとらいおん』のご紹介です。

弱虫な少年ラチと、小さならいおんとの成長の日々を描いた物語。
少しずつ弱さを克服し、強くなっていくラチの姿に勇気をもらえます。

50年以上も前の作品とは思えないような、オシャレで洗練されたイラスト。
子どもも大人も楽しめる、ロングセラーの1冊です。

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絵本『ラチとらいおん』の情報

原題:Laci ​és az oroszlán
著者:マレーク・ベロニカ/作 徳永 康元/訳
出版社:福音館書店
出版年:1965年7月
ページ数:44ページ
対象年齢:4歳から

『ラチとらいおん』のあらすじ

ラチは世界中で1番弱虫な男の子。

犬をみると逃げだします。
暗い部屋にはこわくて入れません。

おまけに友だちさえこわいもんだから、みんなから仲間はずれ。

ラチはいつも泣いてばかりです。
そして1日中、絵本をみてばかりいました。

ある朝、目を覚ますと小さな赤いらいおんがいるではありませんか。
小さいけれど力持ち、とっても強いらいおんは、ラチを強い男の子にすることを約束します。

毎朝いっしょに体操をして、徐々に自分の弱さに打ち勝ちはじめたラチ。
らいおんがそばにいてくれることで、少しずつ強くなっていきます。

そしてとうとう、相撲でらいおんに勝ったある日のこと。
友だちのボールをとった、のっぽの男の子からボールを取り返します。

家に帰るとらいおんの姿はありません。
らいおんからの、ラチに宛てた手紙を残して……

絵本「ラチとらいおん」の中身その1出典:マレーク・ベロニカ『ラチとらいおん』/福音館書店

絵本『ラチとらいおん』の内容と感想

福音館書店「世界傑作絵本シリーズ」の1冊。
ハンガリー生まれのロングセラー絵本です。

少年ラチと、らいおんの成長の日々を描いた物語。
弱虫な男の子が、立派でたくましい少年に変わっていくお話です。

主人公のラチが、らいおんの助けをかりて弱さを克服していきます。
その姿に勇気をもらえると共に、自分自身に重ねたりして応援したくなりますね。

結局、ラチに足りなかったのは自信だったのかな、という気がします。
できないと思い込んでいただけで、行動する勇気が持てなかっただけ。

背中を押してもらえる存在、心の支えになる相手ができたことが大事だったんじゃないのかな。

そしてもうひとりの主人公でもある、らいおん。
小さくて可愛い見た目とは裏腹に、強くて大人っぽい話し方が魅力的です。

ラチにとってらいおんは先生であり師匠であり、大切な友だちだった。
ふたりはとってもいいコンビなんだから、もっと長く一緒にいてほしい気もするけど。

だけど、出会いがあれば別れはつきもの。
その経験をとおして、ラチはさらに強くなれるよね。

たっぷりと余白をとった構図と、少ない色で構成されたイラストがすてき。
50年以上前の作品とは思えない、オシャレで洗練された作品です。

受賞歴

  • 厚生省中央児童福祉審議会推薦図書
  • 全国学校図書館協議会選定図書
  • 日本図書館協会推薦図書
  • 大阪市立中央図書館推薦図書
絵本「ラチとらいおん」の中身その2出典:マレーク・ベロニカ『ラチとらいおん』/福音館書店

弱さを受け入れる強さ

「強さ」というと、つい力自慢や肉体的な強さ。
そういった、目にみえる強さばかりを思い浮かべてしまいがち。

だけどね、自分の弱さをを認められるのも強さなんだよね。
弱さを受け入れて、そこから強くなろうとするのは勇気がいることだから。

そういう意味では、自分の弱さを知っていたラチは、弱虫なんかじゃなかったのかな。

人は自分の見たいものだけしか見ようとしなくて。
つい「誰か」や「何か」のせいにして、言いわけばかりしてしまう。

ぼくたちはすぐに、嫌なことをごまかしたり目を背けてしまうから。

結局は、自分に勝つのが1番困難なのかもしれないね。
自分自身から逃げないのが「強い」ってことだったりするんだろう。

大切なのは、自分の心と向き合うってこと。

大丈夫、怖いことなんてないし、誰だって強くなれるんだ。
らいおんは、みんなの心のなかにもいるんだからさ。

以上、弱さを克服する勇気をもらえるロングセラー絵本『ラチとらいおん』のご紹介でした。

おしまい。

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