![lacitoraion 絵本「ラチとらいおん」の表紙](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2017/07/lacitoraion.jpg)
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ラチとらいおん』のご紹介です。
弱虫な少年ラチと、小さならいおんとの成長の日々を描いた物語。
少しずつ弱さを克服し、強くなっていくラチの姿に勇気をもらえます。
50年以上も前の作品とは思えないような、オシャレで洗練されたイラスト。
子どもも大人も楽しめる、ロングセラーの1冊です。
絵本『ラチとらいおん』の情報
著者:マレーク・ベロニカ/作 徳永 康元/訳
出版社:福音館書店
出版年:1965年7月
ページ数:44ページ
対象年齢:4歳から
『ラチとらいおん』のあらすじ
ラチは世界中で1番弱虫な男の子。
犬をみると逃げだします。
暗い部屋にはこわくて入れません。
おまけに友だちさえこわいもんだから、みんなから仲間はずれ。
ラチはいつも泣いてばかりです。
そして1日中、絵本をみてばかりいました。
ある朝、目を覚ますと小さな赤いらいおんがいるではありませんか。
小さいけれど力持ち、とっても強いらいおんは、ラチを強い男の子にすることを約束します。
毎朝いっしょに体操をして、徐々に自分の弱さに打ち勝ちはじめたラチ。
らいおんがそばにいてくれることで、少しずつ強くなっていきます。
そしてとうとう、相撲でらいおんに勝ったある日のこと。
友だちのボールをとった、のっぽの男の子からボールを取り返します。
家に帰るとらいおんの姿はありません。
らいおんからの、ラチに宛てた手紙を残して……
![lacitoraion.1 絵本「ラチとらいおん」の中身その1](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2017/07/lacitoraion.1.jpg)
絵本『ラチとらいおん』の内容と感想
福音館書店「世界傑作絵本シリーズ」の1冊。
ハンガリー生まれのロングセラー絵本です。
少年ラチと、らいおんの成長の日々を描いた物語。
弱虫な男の子が、立派でたくましい少年に変わっていくお話です。
主人公のラチが、らいおんの助けをかりて弱さを克服していきます。
その姿に勇気をもらえると共に、自分自身に重ねたりして応援したくなりますね。
結局、ラチに足りなかったのは自信だったのかな、という気がします。
できないと思い込んでいただけで、行動する勇気が持てなかっただけ。
背中を押してもらえる存在、心の支えになる相手ができたことが大事だったんじゃないのかな。
そしてもうひとりの主人公でもある、らいおん。
小さくて可愛い見た目とは裏腹に、強くて大人っぽい話し方が魅力的です。
ラチにとってらいおんは先生であり師匠であり、大切な友だちだった。
ふたりはとってもいいコンビなんだから、もっと長く一緒にいてほしい気もするけど。
だけど、出会いがあれば別れはつきもの。
その経験をとおして、ラチはさらに強くなれるよね。
たっぷりと余白をとった構図と、少ない色で構成されたイラストがすてき。
50年以上前の作品とは思えない、オシャレで洗練された作品です。
受賞歴
- 厚生省中央児童福祉審議会推薦図書
- 全国学校図書館協議会選定図書
- 日本図書館協会推薦図書
- 大阪市立中央図書館推薦図書
![lacitoraion.2 絵本「ラチとらいおん」の中身その2](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2017/07/lacitoraion.2.jpg)
弱さを受け入れる強さ
「強さ」というと、つい力自慢や肉体的な強さ。
そういった、目にみえる強さばかりを思い浮かべてしまいがち。
だけどね、自分の弱さをを認められるのも強さなんだよね。
弱さを受け入れて、そこから強くなろうとするのは勇気がいることだから。
そういう意味では、自分の弱さを知っていたラチは、弱虫なんかじゃなかったのかな。
人は自分の見たいものだけしか見ようとしなくて。
つい「誰か」や「何か」のせいにして、言いわけばかりしてしまう。
ぼくたちはすぐに、嫌なことをごまかしたり目を背けてしまうから。
結局は、自分に勝つのが1番困難なのかもしれないね。
自分自身から逃げないのが「強い」ってことだったりするんだろう。
大切なのは、自分の心と向き合うってこと。
大丈夫、怖いことなんてないし、誰だって強くなれるんだ。
らいおんは、みんなの心のなかにもいるんだからさ。
以上、弱さを克服する勇気をもらえるロングセラー絵本『ラチとらいおん』のご紹介でした。
おしまい。
FACEBOOKでコメントを書く