出典:平田 研也,加藤 久仁生『つみきのいえ』/白泉社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『つみきのいえ』のご紹介です。
世界中で感動をよんだアニメが絵本になりました。
水没した町の、つみきのいえで暮らす、おじいさんのお話。
ある日、落とし物を探しに海に潜ると、そこには、在りし日の幸せな記憶。
海のなかの忘れものを探しに、おじいさんは下へ下への潜っていきます……
おじいさんの記憶の扉とともに、読む人の涙腺までゆるめてしまう作品。
心があたたまる感動の1冊です。
絵本『つみきのいえ』の情報
出版社:白泉社
出版年:2008年10月
ページ数:31ページ
対象年齢:5歳から
『つみきのいえ』のあらすじ
海の中にある町の、海の上に立った家。
だんだん水位が上がってきて、住んでいる家が水の中に沈んでしまいます。
するとその上に新しい家をつくり、また沈むと、また新しい家をつくり。
まるで何個も積みあげられた、つみきのような家ができあがりました。
そんなちょっと不便で変わった家に、おじいさんが暮らしています。
3年前におばあさんが亡くなって以来、ひとりぼっちで住んでいます。
そんなある年の冬のこと、また海の水が床まで上がってきてしまいました。
「やれやれ……また あたらしい いえを つくらなきゃならんか……」
新しい家を作っていておじいさんは、ある日、大事な大工道具を海の中に落としてしまいます。
潜水服をきて海にもぐる、おじいさん。
するとそこには、過去に住んでいた家とともに、さまざまな記憶が……
おばあさんとの思い出。
小さかったころの子どもたちとの思い出。
そして、まだ町がにぎやかだったころの思い出。
下の家に潜るたびに当時の記憶がよみがえってきて……
絵本『つみきのいえ』の内容と感想
米国アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。
フランス・アヌシー国際アニメーション映画祭最高賞をはじめ、数々の賞を獲得した「つみきのいえ」
その世界中が感動した名作アニメが、監督自身の手で絵本用にリメイクされました。
つみきのいえで暮らす、おじいさん。
落とし物を探しに海に潜ると……
町でカーニバルがあったときのこと。
1番うえの娘が、結婚して出ていくときのこと。
深く潜れば潜るほど、幸せだった記憶がよみがえる。
そしてついに、1番下の家にたどりつきます……
あたたかいタッチで描かれたイラストが物語にぴったり。
ストーリーと相まって、胸にジーンと心に響くすてきな作品です。
読み終えるころには、自然と涙がこぼれてくる感動の1冊。
思い出ってとってもあたたかくて。
そしてとっても大切で。
心の奥にしまっては、ときどきそっと開けてなつかしむもの。
たとえ忘れてしまっても、ふとしたきっかけでよみがえる。
消えずにずっと残りつづけるもの。
町の人たちが引っ越していっても、おじいさんが、この町に住みつづける理由。
それはここに、家と一緒に思い出も、つみきのように積みあがっているから。
おじいさんにとっては、この場所が、このつみきのいえが、なによりの宝ものだから。
きっと、おじいさんは、これからもずっとこうして暮らしていくんだろうな。
また新しく家を積みあげながら、思い出と一緒に幸せにさ。
思い出の所在地
「あの頃はよかった」なんて、よく言うけどさ。
どうして昔の記憶って、こんなにも、あたたかいんだろう。
思い出のなかの風景って、どうしてこんなに輝いているんだろう。
嫌な記憶って忘れてしまいがち。
だからいい思い出ばかりになってしまうのかな。
それとも、もう手に入らないものだからかな。
2度と取り返すことがことができないから
どれだけ求めても手に入ることのないものだから。
思い出を糧に生きること。
ときおり、思い出の箱をのぞいてなつかしむこと。
そういうのって必要だし大事なことだと思うんだ。
だけど過去にすがってちゃダメだよね。
「もしもあの頃にもどれたら」
そうやってウジウジしてたって時計の針は戻らない。
ぼくたちは「今」を生きているんだから。
思い出は「つみきのいえ」みたいに積みあがっていくんだよ。
そうやって下ばかり向いてないでさ、前を向いて歩こうよ。
今が、未来の自分にとっていい思い出になるようにさ。
以上、家も思い出も積みあがる 心あたたまる感動の絵本『つみきのいえ』のご紹介でした。
おしまい。
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