絵本さんぽ

〜絵本ソムリエのおすすめ絵本紹介〜

擬人化された列車たちの物語 ロングセラーの乗り物絵本『きかんしゃやえもん』

絵本「きかんしゃやえもん」の表紙

出典:阿川 弘之,岡部 冬彦『きかんしゃやえもん』/岩波書店

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『きかんしゃやえもん』のご紹介です。

懐かしさを感じる、SL機関車が主人公。
擬人化された列車たちのお話です。

アニメ化もされ、国語の教科書にも載った人気作品。
昔も今も愛されつづける、ロングセラーの乗り物絵本です。

絵本『きかんしゃやえもん』の情報

著者:阿川 弘之/作 岡部 冬彦/絵
出版社:岩波書店
出版年:1959年12月
ページ数:47ページ
対象年齢:4歳から

『きかんしゃやえもん』のあらすじ

田舎の町の小さな機関庫に「やえもん」という機関車がおりました。
長いあいだ働いて、年をとって、くたびれていました。

同じくらい年寄りの小さな客車を引いて、駅から駅へ行ったり来たりの毎日です。

ある日、町の駅に着いたやえもん。
最新式のピカピカな、れえる・ばすや電気機関車と隣りあわせになります。

華やかな町で颯爽と走る彼らをみて、やえもんは汚い自分の姿が悲しくなりました。

「おなかの なかまで まっくろけの びんぼうぎしゃ」
やえもんがお昼のお弁当に石炭を食べていると、電気機関車がバカにします。

それをみていた、れえる・ばすも一緒になってからかいます。
やえもんは、まっ黒な煙をはいて怒りだしました。

「おれは いままで こんなに ながいあいだ はたらいてきたのに みんなで おれを ばかにする」

腹を立てたやえもんには、子どもたちの声もきこえません。
煙突から煙だけでなく、火の粉も吐きながら走りつづけたのです。

それが路脇の田んぼのわらに燃え移って、火事になってしまいます。
人々の怒りはおさまらず、問題になったやえもんは処分されてしまうことに……

絵本「きかんしゃやえもん」の中身その1出典:阿川 弘之,岡部 冬彦『きかんしゃやえもん』/岩波書店

絵本『きかんしゃやえもん』の内容と感想

岩波書店「岩波の子どもの本」のなかの1冊。
擬人化された列車たちのお話です。

さながら和製「きかんしゃトーマス」といったところでしょうか。

50年以上前に出版された絵本だけに、時代を感じさせる昭和のにおいがする1冊。
だけど古臭さは感じない、長く愛されている乗り物絵本です。

長いあいだ働いて年をとってしまったSL機関車のやえもん。
処分されてくず鉄になるはずが、ひょんな偶然から、交通博物館で保存されることが決まります。

ずっと頑張ってきたのに、古くなったからといってお払い箱にされてしまう。
そんなやえもんの姿は、大人が読んでも共感できるところがあるのではないでしょうか。

それでも「捨てる神あれば拾う神あり」ってなもんです。
やえもんの第2の人生は、きっと幸せがたくさん待っていますよね。

「おれだって しゃあ。わかい ころには しゃあ」
やえもんの「~しゃあ」などといった口ぐせも印象的な作品。

他にも「ぷっすん」や「けっとん」といった、特徴ある言いまわしはついマネしたくなりますね。

発行部数は139万部のミリオンセラー作品(※トーハン「ミリオンぶっく2017年版」より)。

小学校の国語の教科書にも載った名作絵本。
NHKで複数回にわたり映像化されたり、「D51の大冒険」という名でアニメ化や3D映画化もされている人気の1冊です 。

絵本「きかんしゃやえもん」の中身その2出典:阿川 弘之,岡部 冬彦『きかんしゃやえもん』/岩波書店

古びても変わらない幸せ

古いものより新しいものの方がいい。
新しいもの、きれいなものの方が価値がある。

そんな風潮や価値観が、世の中には少なからずあるんじゃないのかな。
古くなったやえもんを、バカにしたいみたいな空気がさ。

でもね、その考えって少しさみしい気がするんだ。
時間は一方通行でしか流れていかないんだから。

形あるものは必ず古くなって、年老いていく。
物も人も、自然だってそう。

「若いころはよかった」
「あのころに戻りたいなあ」

そうやって願ったところで、叶うことはないんだから。

だんだん価値がなくなっていく。
少しずつダメな自分に近づいていく。

そんなふうに思いながら生きていくなんて悲しいだけだよね。
年を重ねることはさ、悪いことでもマイナスなんかでもないんだよ。

楽しいことも、幸せなことも、なくなりはしないんだから。
失っていくものもあるけどさ、増えていくものだってあるんだから。

やえもんみたいに、新しい人生がひらけるかもしれないんだしね。

以上、擬人化された列車たちの物語 ロングセラーの乗り物絵本『きかんしゃやえもん』のご紹介でした。

おしまい。

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