出典:渡辺 茂男,山本 忠敬『しょうぼうじどうしゃじぷた』/福音館書店
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』のご紹介です。
子どもの大好きな「働く車」をモチーフにした絵本。
いつもはみんなからバカにされるちびっこ消防車。
そんなのじぷたが、自分の持ち味を活かして大活躍するお話です。
「だれにでだって得意なことはある」
「どこかに活躍できる場所がある」
そんなメッセージが込められた素敵な物語。
50年以上も変わらずに愛され続けるロングセラー。
子どもたちに大人気の乗り物絵本です。
絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』の情報
『しょうぼうじどうしゃじぷた』のあらすじ
ある町の消防署に、はしご車ののっぽくんと、高圧車のばんぷくんと、救急車のいちもくさんがいました。
火事が起こると、大きくて立派なみんなは大活躍するのです。
そんな消防署のすみっこに、古いジープを改良したちびっこ消防車のじぷたがいました。
じぷたは働き者だけど、小さいので出動するのはボヤの時だけ。
町の子どもたちは、活躍する3台のばかりに注目して、小さくて地味なじぷたには見向きもしません。
みんなじぷたを馬鹿にしていて、じぷたは悲しい思いをしていました。
ある日、隣村から出動要請が入ります。
山小屋が火事になってしまい、早く消さないと山火事になってしまいます。
だけど山の上まではしご車では届きません。
高圧車は細い道を通れず、救急車もまだ必要ありません。
署長さんはじぷたの方に目を向けます。
「よし、じぷただ。たのむぞ!」
さあ、じぷたの大活躍のはじまりです。
![fireengine-jiputa.1 絵本「しょうぼうじどうしゃじぷた」の中身その1](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2017/02/firetruck-jiputa.1.png)
絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』の内容と感想
子どもたちの大好きな「働く車」をモチーフに描きつつ。
届けたい優しいメッセージがきちんと込められている。
楽しみながら心を育てる、まるで絵本の見本のような作品です。
大きくないし、長いはしごもないし、ケガをした人を運ぶこともできません。
だけどそんなじぷたにしかできないことがあるんですね。
狭い道も険しい山道も、いつもは笑われていた小ささがプラスになる。
だれにでも得意、不得意はあるものですから。
長所や短所なんて、状況が変われば逆転することだってありますもんね。
光が当たらなくともずっと真面目にがんばってきた。
そんなじぷただからこそチャンスを活かせたんです。
けっして子どもだけの絵本ではなく、大人になっても読んでほしい傑作絵本。
読み聞かせをとおして一緒になって楽しんでほしい1冊です。
発行部数は212万部のダブルミリオンセラー作品*1。
「Jeeper the Fire Engine」というタイトルで英語版にも翻訳されています。
受賞歴
・全国学校図書館協議会選定「必読図書」
![fireengine-jiputa.2 絵本「しょうぼうじどうしゃじぷた」の中身その2](https://ehonsanpo.com/wp-content/uploads/2017/02/firetruck-jiputa.2.jpg)
「ナンバーワン」ではなく「オンリーワン」
ぼくたちはつい比べる必要のないものを比較してしまう。
だれが1番だとか
だれがだれより優れているだとか。
勝手に順位をつけて、意味のない勝ち負けを争ったりして。
ただ違いがあるだけ、上も下もないもないのにね。
目立つところ、わかりやすいところにばかり注目が集まってしまうけれど。
それぞれ力を発揮できる場面が違うだけなんですよね。
のっぽくんに、ばんぷくん、いちもくさんばかりが評価されがちだけど。
じぷたのように活躍できる場面がちゃんと用意されている。
比較して優劣をつける必要なんてなくて。
みんなで協力して、足りないところを補い合えばいいんだから。
たくさんのことができるとか。
他より多く持っているとか。
そんなことで人の価値は決まらない。
だれかを貶めたりしなくていい。
自分を嫌いになんてならなくていい。
いつか輝ける場所が見つかるよ。
じぷたみたいに自分を誇れる日がきっと来るから。
みんな違ってみんないいんだからね。
以上、得意なことを活かせばいい! 働く車たちの傑作絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
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