絵本さんぽ

〜絵本ソムリエのおすすめ絵本紹介〜

スリル満点の追走劇 関西弁がみごとにマッチしたシュールな絵本『ちがうねん』

絵本「ちがうねん」の表紙出典:ジョン・クラッセン『ちがうねん』/クレヨンハウス

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『ちがうねん』のご紹介です。

人気絵本『どこいったん』の続編。
ジョン・クラッセンの帽子シリーズ第2作めとなる作品です。

前作につづいてドキッとする結末と関西弁の翻訳がみごとにマッチした、シュールな1冊。

小さな魚と大きな魚の、帽子をめぐる追走劇。
そのスリリング展開から目がはなせませんよ!

絵本『ちがうねん』の情報

原題:This Is Not My Hat
著者:ジョン・クラッセン/作 長谷川義史/訳
出版社:クレヨンハウス
出版年:2012年11月
ページ数:ページ
対象年齢:3歳から

『ちがうねん』のあらすじ

海のなかを、帽子をかぶった小さな魚が泳いでいます。

「このぼうし ぼくのと ちがうねん」
「とってきてん」

大きな魚が寝ているあいだに、こっそりと盗んだ帽子です。

きっとまだ寝ていると、小さな魚は思っています。
それにたとえ起きても、帽子を盗んだことがバレないとたかをくくっていますが……

誰にもみつからない海藻のジャングルまで逃げる小さな魚。
あっ、途中でカニにみられたけど……大丈夫かな?

あれ、うしろから大きな魚が泳いできた。
カニが何か教えているみたいだけど……

「よっしゃ ついた!」

何も気づかず、海藻のジャングルに逃げ込んで一安心の小さな魚。
そのあとをゆっくり大きな魚が着いていきます。

そして……

絵本「ちがうねん」の中身その1出典:ジョン・クラッセン『ちがうねん』/クレヨンハウス

絵本『ちがうねん』の内容と感想

ジョン・クラッセンの帽子シリーズ第2作め。
1作め『どこいったん』は帽子を盗まれた側でしたが、今度は盗む側のお話です。

前作同様、ドキッとする結末の物語。
スリル満点の展開と、とぼけた大阪弁とのギャップがすばらしい!

何も知らずに逃げる小さな魚。
そして、そのうしろからゆっくり迫りくる大きな魚。

後半の緊迫感には、ページをめくるたびにドキドキしちゃいますね。

みんなちょっととぼけた表情なんだけど、大きな魚の目つきが不気味なんです……

背景は深く暗い海の中のような黒一色。
それがよりいっそう不気味さやスリル感を演出しています。

「あかんあかん、起きてるで! しかも完ぺきバレてんでえ」
と、おもわず絵本に向かって突っこみたくなっちゃいます。

自分のほうが似合っていると、自分自身に言い聞かせて逃げる小さな魚。
たしかに帽子のサイズ的にはそうなんでしょうけど。

悪事はいつかバレるものだし、人のものを盗んじゃダメなんだけどね。
その代償は大きかったようで……

まあ、海藻のジャングルのなかで何があったのかは、深く考えないようにしましょうか……

スリリング展開とドキッとする結末。
そして物語と関西弁がみごとにマッチした、シュールな1冊です。

受賞歴

  • 2013年 コールデコット賞
  • 2014年 ケイト・グリーナウェイ賞

続編・シリーズ作品
【ジョン・クラッセンの帽子シリーズ】

  1. どこいったん(2011年11月)
  2. ちがうねん(2012年11月)
  3. みつけてん(2016年10月)

ジョン・クラッセンの帽子シリーズ特設サイト

絵本「ちがうねん」の中身その2出典:ジョン・クラッセン『ちがうねん』/クレヨンハウス

ちがうねん

人は、自分が正しいと思いたいから。
ぼくたちは、自分の行いは間違いじゃないと信じたいから。

やっているのが悪いことだとわかっていても、どこかでそれを認めたくないんですよね。

だから正当化するための答えを求めて。
ごまかすために、自分を偽る理由をつくる。

「だってしかたない」
「自分は悪くない」

そんなふうに自分勝手な理屈を通してしまいます。

自分のほうが似合っているからと。
そうやって、自分自身に言い聞かせて小さな魚のようにね。

「あの人が悪いんだ」
「私の方が被害者なんだ」

自分自身にいいわけするために、誰かを悪者にして。
正当化するために無理やり「敵」をつくりだして。

それは、ぼくたち自身の世界をゆがめてしまう行為。
自ら辛い生き方を選んでしまうことになってしまうから。

認めちゃえば楽なのにね。
そんな苦しい生き方してないでさ。

自分自身にいいわけなんてしてないで。
変な正当化なんてしていないで。

自分の心と向きあって、正直な気持ちでいたいもんだよね。

だって嫌でしょう?
大きな魚に追われ続けるような生き方なんてさ。

以上、スリル満点の追走劇 関西弁がみごとにマッチしたシュールな絵本『ちがうねん』のご紹介でした。

おしまい。

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