絵本さんぽ

〜絵本ソムリエのおすすめ絵本紹介〜

種を超えた愛と親子の絆の物語 心あたたまる優しい絵本『おまえうまそうだな』

絵本「おまえうまそうだな」の表紙

出典:宮西 達也『おまえうまそうだな』/ポプラ社

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『おまえうまそうだな』のご紹介です。

アンキロサウルスのウマソウと、ティラノサウルス。
草食恐竜と肉食恐竜の、種を超えた親子の物語。

愛すること、守ること。
そんなことを考えさせられる1冊です。

映画化やアニメ化もされるほどの人気作。

感動のラストは涙なしではみていられません。
切なくもやさしい、心あたたまる素敵な絵本です。

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絵本『おまえうまそうだな』の情報

著者:宮西 達也/作
出版社:ポプラ社
出版年:2003年3月
ページ数:40ページ
対象年齢:3歳から

『おまえうまそうだな』のあらすじ

むかしむかし、おおむかし。
ある晴れた日のこと。

アンキロサウルスの赤ちゃんが生まれました。
ひとりぼっちの赤ちゃんは、さみしくて泣きながら、とぼとぼ歩いていると……

「ひひひひ……おまえ うまそうだな」
そう言ってティラノサウルスが襲いかかろうとした、そのときです。

「おとうさーん!」
アンキロサウルスがティラノサウルスにしがみつきました。

アンキロサウルスは「おまえうまそうだな」を「おまえウマソウだな」と勘違い。
自分の名前が「ウマソウ」で、ティラノサウルスが自分のことを知っているものだと思い込んで……。

「おとうさんみたいになりたい」という、ウマソウの言葉にティラノサウルスは心を動かされます。
ウマソウを食べようとしたキランタイサウルスを追い払い、自分を父親だと信じなついてくるウマソウと行動をともにします。

体当たり、しっぽの使い方、ほえ方。
ティラノサウルスはウマソウにいろいろなことを教えました。

だけどティラノサウルスは、このままではウマソウのためにならないと思い悩みます。
何日も何日もたったある日、とうとうウマソウとの別れを切り出します。

そして……。

絵本「おまえうまそうだな」の中身その1出典:宮西 達也『おまえうまそうだな』/ポプラ社

絵本『おまえうまそうだな』の内容と感想

生まれたときからひとりぼっち、みなしごのウマソウ。
なんだかんだと面倒見がよく心配症なティラノサウルス。

2ひきの恐竜の種を超えた愛。
勘違いからはじまった、少しおかしな親子の絆の物語。

おとうさんに喜んでもらおうと必死で健気なウマソウ。
自分を慕って甘えてくる小さな命にやさしくも厳しく接するティラノサウルス。

もうどこからどうみても親子のような2ひき。

ティラノサウルスにとってもウマソウと過ごす時間はきっと幸せだったはず。
だけどウマソウのことを考えると、このままではいけないと別れを決意します。

ほんとうに相手のためを思えば何をするべきなのかを考えた末の決断。
ウマソウもきっといつかはわかってくれる日がきますよね。

2010年には映画化やテレビアニメ化もされている人気作。
ティラノサウルスシリーズは累計発行部数が200万部を超えるほどの大人気シリーズです。

恐竜好きはもちろん、大人も子ども関係なく、たくさん人に読んでほしい1冊です。

受賞歴

  • 2003年度けんぶち絵本の里大賞
  • 2003年度読書感想画中央コンクール指定図書<小学校低学年の部>

続編・シリーズ作品
【宮西 達也のティラノサウルスシリーズ<】

  1. おまえ うまそうだな(2003年3月)
  2. おれはティラノサウルスだ(2004年1月)
  3. きみはほんとうにステキだね(2004年9月)
  4. あなたをずっとずっとあいしてる(2006年1月)
  5. ぼくにもそのあいをください(2006年10月)
  6. わたしはあなたをあいしています(2007年6月)
  7. あいしてくれてありがとう(2008年12月)
  8. であえてほんとうによかった(2009年11月)
  9. いちばんあいされてるのはぼく(2010年9月)
  10. わたししんじてるの(2011年6月)
  11. ずっとずっといっしょだよ(2012年6月)
  12. あいすることあいされること(2013年9月)
  13. やさしさとおもいやり(2015年3月)
  14. あなたをずっとあいしてる(2015年5月)
絵本「おまえうまそうだな」の中身その2出典:宮西 達也『おまえうまそうだな』/ポプラ社

愛することについて

愛情ってとても大事な感情で、とても大切にしたいな気持ち。
だけどそれゆえに面倒だったり、複雑にしてしまうところもあったりして。

ぼくたちはつい、愛することをむずかしく考えてしまいがち。

「こうじゃなきゃいけない」とか。
「これがなければいけない」とか。

愛とは「こういうもの」だとに決めつけて、窮屈なものにしてしまう。

だけどほんとうはそんなもの必要なんかじゃなくて。
もっとシンプルで自由なものなんです。

絵本のウマソウとティラノサウルスを見ればわかりますよね。

種が同じとか、出会った期間とか。
そんなものは何の関係もなくて。

それは親子や家族、夫婦や恋人であっても変わらない。

「相手に幸せになってほしい」
「そのために何かしてあげたい」

そんなふうに思えたなら、それはもう愛と読んでいいんじゃないのかな。

立場が反対になっても同じ。
愛することがそうであるように、愛されることにも資格なんて必要ないんです。

もっとキレイににならきゃダメ、とか。
いい子でいなきゃいけない、とか。

そんな条件付きなものなんかではなくて。
どんな人にだって愛されるための権利は与えられているんだから。

だけどひとつだけ注意したいのは、愛することは痛みを伴う場合があるということ。
絵本の2ひきのように、悲しかったり苦しかったりがあるということ。

それでもやっぱり愛することはやめられない。
愛することは、生きるということでもあるから。

以上、種を超えた愛と親子の絆の物語 心あたたまる優しい絵本『おまえうまそうだな』のご紹介でした。

おしまい。

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