出典:くすのき しげのり,石井 聖岳『おこだでませんように』/小学館
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『おこだでませんように』のご紹介です。
怒られてばかりいる男の子が、七夕の短冊にお願いします。
まだうまく書けないひらがなで「おこだでませんように」と。
不安、悲しさ、無力感や苛立ち。
そんな幼い男の子の心に寄り添うようなやさしい作品。
子どもだけではなく、子育て中のママやパパにもぜひ読んでもらいたい1冊です。
絵本『おこだでませんように』の情報
出版社:小学館
出版年:2008年7月
ページ数:32ページ
対象年齢:6歳から
『おこだでませんように』のあらすじ
いつも怒られてばかりの男の子がいます。
家では妹を泣かせて、おかあちゃんに怒られ。
学校ではお友達とケンカをしては、先生に怒られ。
それも決まって男の子だけが怒られてしまいます。
どうせ言ってもよけいに怒られるだけだから……
ぎゅっ口をつぐんで、だまって横を向いて怒られる。
昨日も今日も、きっと明日も怒られる……
「ぼくは どないしたら おこられへんのやろ。
ぼくが どないしたら ほめてもらえるのやろ。
ぼくは……「わるいこ」なんやろか……」
どうしていいのかわからず、途方に暮れる男の子……
7月7日も七夕の日。
学校で短冊にお願いごとを書くことに。
男の子は一生懸命、考えて、お願いを書き込んでいきます。
覚えたてひらがなで、ひとつずつ、心を込めて。
さて、男の子のどんなお願いを書いたのでしょう?
そしてその願いごとは叶ったのでしょうか……?
絵本『おこだでませんように』の内容と感想
なにかと怒られてばかりの男の子が、七夕の短冊に願いを込めるお話です。
物語は主人公の男の子による、関西弁の語り口で進んでいきます。
内容も相まって、子どもたちにとっては感情移入しやすい作品ではないでしょうか。
家では、仕事で帰りが遅い母親のかわりに妹の面倒をみたり。
学校では、クラスの女の子にカマキリをあげたり、給食を大盛りによそってあげたり。
どれも良かれと思っての行動なんだけど……
不器用だから空回りしまうんですよね。
どうせわかってもらえないと、ギュッと口をつぐんでしまう男の子は、みていて胸が苦しくなります。
元子どもとして、この気持ちすごくよくわかる。
だからこそ、大人として子どもにこんな表情はさせちゃダメだなあ、と思いますね。
子どもにも子どもなりの言い分や理由があって。
怒られたいわけでも、困らせたいわけでもないんです。
それを頭ごなしに叱ってしまうと反発して、よけいにひねくれてしまうから。
だからといって先生だって、お母ちゃんだって、怒りたいわけじゃないんですけどね。
子育て中のママやパパには、きっと心に思うところがあるのではないでしょうか。
短冊の願いは叶ったのだけど、それは七夕が起こした奇跡なんかじゃなくて。
男の子の思いが、心のこもった短冊が、先生やお母ちゃんの胸にひびいいたから。
そしてすぐに自分の非を認め、改められる先生もお母ちゃんも、素敵な大人。
大人も子どもから学ぶことって意外と多かったりするんです。
「最近怒ってばっかり……」
そんな心当たりがあるママやパパに、ぜひ子どもと一緒に読んでほしい1冊です。
受賞歴
- 第55回 青少年読書感想文全国コンクール課題図書選定
- 第2回 JBBY賞受賞
- 第3回 幼稚園絵本大賞受賞
怒りたくないし怒られたくない
絵本『おこだでませんように』は、親になってから読むと感じ方が変わる1冊。
男の子の気持ちもわかるけど、子どもが生まれると、お母ちゃんの気持ちもわかるから。
子育てって大変だからね、親もなにかとイライラしてしまうんですよね。
怒りたくないけど、ついガミガミと言ってしまったりして。
しかも時間がないとか、手間が増えるだとか。
大人の都合である場合も少なくなったりして。
自分が子どものときは理不尽に感じていたりしたのに、大人になると忘れちゃうんだよね。
「子どもに悪いことをしてしまったかな」
「自分は子育てに向いてないんじゃないか」
なんて、あとになって自己嫌悪を感じることもあったりして……
甘やかすのが良いわけではないけどさ。
いつも怒ってばかりだと、絵本の男の子みたいなつらい思いをさせてしまうから。
親として大切なのは、心に余裕を持つことだったりするのかな。
あんまり余裕がないとすぐにイライラしちゃうしね。
ピリピリしてると親も子どもも居心地がよくないですもん。
まず、頑張りすぎずないこと。
いい親であろうとしないこと。
子育てってさ、肩の力を抜いてほどほどぐらいで丁度いいんだよね。
以上、七夕の短冊にこめた願い 子どもの心に寄り添う絵本『おこだでませんように』のご紹介でした。
おしまい。
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