出典:佐野 洋子『おじさんのかさ』/講談社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『おじさんのかさ』のご紹介です。
雨がふっても、おじさんが傘をささない……?
お気に入りの傘が濡れるのが嫌な、ちょっぴり変わったおじさんのお話です。
小学校1年生の国語の教科書にも掲載されていた人気作。
大人も子どもと一緒に楽しめる、クスッと笑えるユニークなロングセラー絵本です。
絵本『おじさんのかさ』の情報
『おじさんのかさ』のあらすじ
おじさんにはお気に入りの傘がありました。
黒くて細くてピカピカ光った立派な傘です。
出かけるときはいつだって傘を持ち歩きます。
だけど、どれだけ雨がふっても傘をさしません。
おじさんが濡れてしまっても、傘を抱きかかえて守ります。
なぜなら、傘が濡れてしまうから……
ある日、おじさんが公園で休んでいると雨がふってきました。
そこに小さな男の子がやってきて「いっしょに いれてってよ」と言いました。
傘を濡らしたくないおじさんは聞こえないふり。
すると小さな男の子のお友だちやってきて、一緒に歌いながら帰っていきました。
「あまが ふったら ポンポロロン
あめが ふったら ピッチャンチャン」
本当にそんな音がするのかな?
子どもたちの歌をきいたおじさんは、好奇心に負けてはじめて傘を広げてみました。
すると……
絵本『おじさんのかさ』の内容と感想
講談社の創作絵本シリーズの1冊。
『100万回生きたねこ』でも有名な佐野洋子さんの絵本です。
シルクハットに黒いコートを着たイギリスの紳士のようなおじさん。
でもお気に入りの傘が濡れるのが嫌で、傘をさそうとしない、ちょっぴり変わり者。
「大切だから大事にしたい」
「大事にしたいからこそ使えない」
そういう気持ちはよくわかります。
そして、おじさんにとってその大事なものが傘だった。
何が大事かなんてその人にしかわかりませんから。
他人があれこれ言うものじゃないですよね。
だけど傘なのに、雨がふってもささないってのもねえ……
傘を守って自分が濡れてるんじゃ本末転倒だよ。
「ちょっと しつれい、そこまで いれてください」
雨がやまなければ知らない人の傘にいれてもらったりまでして。
そんなおじさんも、子どもたちが歌っていた雨の歌に誘われてついに傘をひらきます。
そして、お気に入りの傘が雨に濡れたところをみて「かさらしいじゃないか」とご満悦です。
おじさんは今までは雨の日が嫌いだったはず。
だってお気に入りの傘が濡れてしまうから。
だけどもう雨の日が待ち遠しくて仕方がないんじゃないのかな。
だっていくらでも傘をさせるんだからね。
おじさんが「おっほん」と聞こえないふりをするところなんて、とってもチャーミング。
大人も楽しめる、雨の時期に読みたくなる絵本です。
受賞歴
- 厚生省中央児童福祉審議会推薦
- サンケイ児童出版文化賞推薦賞
- 全国学校図書館協議会選定図書
- 日本図書館協会選定図書
- 日本子どもの本研究会選定図書
大切すぎて使えないもの、ありませんか?
大事なものを大切にしたい。
傷つかないように、壊れてしまわないように。
大切すぎて逆に使えない。
そういうものってあったりしませんか?
だけどね、ものにはそれぞれ「役割」というものがあるんです。
その「役割」を果たした時が、もっともそのものらしくて良い。
やっぱり傘は雨の日にさしてこその傘ですよね!
眺めているだけじゃ本当の魅力はわからないから。
なんだってそう、見合った使われ方をしてこそ美しいんです!
必要以上に大事にしてしまうのはさ、その良さを奪ってしまっているようなもの。
持つ人にとっても、もの自身にとっても窮屈な思いをするだけだから。
でもそれって、なんだか子育てに通じるものがあるのかな。
大切だから過保護になりすぎちゃうのと似てる気がしませんか。
子どもの役割は、いっぱい遊ぶこと、失敗して学ぶこと。
大事にしすぎて失敗しないように安全な道ばかり。
将来を案じて遊ぶ時間を削ってまで無理に勉強させたり。
それって結局、おじさんの傘と同じだったりするんじゃないのかな。
広げてみればいいんだよね。
おじさんの傘みたいにさ、きっとそれぞれの良さを再発見できるから。
以上、大切だから大事にしたい 大人も楽しめるロングセラー絵本『おじさんのかさ』
のご紹介でした。
おしまい。
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