絵本さんぽ

〜絵本ソムリエのおすすめ絵本紹介〜

ロングセラーの乗り物絵本 疾走感あふれる名作『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』

絵本「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」の表紙

出典:バージニア・リー・バートン『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』/福音館書店

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』のご紹介です。

お騒がせ機関車「ちゅうちゅう」による迫力満点の暴走劇。
全編モノクロで描かれながらも、疾走感あふれる1冊です。

子どもたちが大好きな、乗り物絵本の定番作品。
世界中で愛されるロングセラー絵本です。

絵本『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』の情報

原題:CHOO CHOO
著者:バージニア・リー・バートン/作 村岡 花子/訳
出版社:福音館書店
出版年:1961年8月
ページ数:45ページ
対象年齢:4歳から

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』のあらすじ

小さな蒸気機関車の、ちゅうちゅう。
真っ黒でピカピカ、きれいで可愛い機関車です。

ちゅうちゅうはいつも、人や手紙をいっぱい積んで行ったり来たり。

町から町へ、駅から駅へ、走ってはまだ戻り。
トンネルを抜け、跳ね橋を渡り、今日も荷物を運びます。

そんなある日、ちゅうちゅうは考えました。

もうあの重い客車なんか引くのはごめんだ。
ひとりならもっとはやく走れるし、みんなも私だけをみてくれるのに……

次の日、ひとりきりになった隙に勝手に走り出しまいました。

「ちゅうちゅう、しゅっしゅっ!」
信号も踏切も無視して走っていきます。

牛や馬も、にわとりも人も、みんな驚き、たちまちパニックです。

跳ね橋を飛び越え、大きな駅の操車場を突っ切っります。
迷惑を考えず走るちゅうちゅうに、みんなは怒り心頭。

そんなことお構いなしに、町を抜けて田舎へ走っていくちゅうちゅう。

暗くなって道もわからず、石炭も水も少なくなりました。
そして、もう何年も使っていない古い線路に迷い込んで、とうとう止まってしまいます。

そこに迎えに来てくれたのは、最新式の汽車にのった機関士たちでした。

絵本「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」の中身その1

出典:バージニア・リー・バートン『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』/福音館書店

絵本『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』の内容と感想

福音館書店「世界傑作絵本シリーズ・アメリカの絵本」の1冊。
全編モノクロで描かれたイラストは、ダイナミックでスピード感たっぷり!

文章が線路のように波形に配置されていたり、話の内容や絵に合わせて形が変わります。
そんな遊び心を感じるポイントも、この絵本のみどころのひとつ。

迫力満点で機関車絵本の定番作。
はた迷惑な暴走機関車「ちゅうちゅう」の物語です。

「繰り返しの毎日なんてもう嫌だ」
「もっと自由に走ったみたい」

そんな、ふと頭をよぎった思い。
一度考えてしまったら、そう簡単には自分をごまかせません。

そこからはじめる、ちゅうちゅうの暴走劇。
いたずら心とは少し違うし、本人に悪気はないんですよね。

「自分はひとりで何でもできる」
「もっと自分に注目してほしい」

そんな子どもらしい一面もみえて、読む人の共感を呼ぶのではないでしょうか。
結局、最後はどうしようもなくなって、困ったところを助けられるのも子どもらしい。

機関士のジムが、機関助士のオーリー、車掌さんのアーチボルト。
大切に思って、心配してくれる人たちがいるんだから、あまり迷惑かけちゃダメだよね。

絵本としてはやや長めながらも、グイグイ引き込まれて飽きさせません。

発行部数は137万部(※トーハン「ミリオンぶっく2017年版」より)のミリオンセラー作品。
ずっと読み継がれていくロングセラーの1冊です。

受賞歴

  • 全国学校図書館協議会選定「必読図書」
  • 全国学校図書館協議会選定「基本図書」
  • サンケイ児童出版文化賞推薦図書
  • 厚生省中央児童福祉審議会推薦図書
絵本「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」の中身その2出典:バージニア・リー・バートン『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』/福音館書店

逃げた先に楽園なんてない

大人になって読み返すと、感じ方が変わる絵本というのがけっこうあって。
『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』も、そんな1冊でした。

「わたしは、もう にげだしたり しません。にげても、あまり おもしろいことは ないんですもの」
物語の最後、家に変える途中にちゅうちゅうが言った言葉です。

子どものころは、ただワクワクする絵本という記憶しかなかったんだけどね。
大人になって読み返して、ぼくはこの言葉に共感を覚えました。

どうしてかな、ぼくたちはつい逃げた先に楽しいことがあると考えてしまいがち。
ここではないところに、自分の求めているものがあると錯覚してしまう。

でもね、嫌なことから逃げだしても、そこに楽園なんてありはしなくて。
言い訳して、格好つけて、投げだしているだけでは何も変わらないから。

いろんな人に迷惑や心配をかけていることにも気づかずに。
結局「どこか」や「誰か」に居場所を求めるのは、現実逃避でしかないのかな。

それは夢をみるな、とか、妥協しろってことではなくてね。
どんなことでも、つらいことや嫌なところはあるものだから。

そこから逃げて、目をそらしているだけでは、ずっと逃げ続けることになってしまいます。

ぼくたちは自分の生き方を選べるし、何かを犠牲にせずとも幸せになることができるんです。
だけどね、そこにもきっと不満や問題がないわけではないはずだから。

完ぺきなものなんてないんだからさ。
それを受け入れて、折り合いをつけるのが「生きる」ってことなんじゃないのかな。

以上、ロングセラーの乗り物絵本 疾走感あふれる名作『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』のご紹介でした。

おしまい。

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