出典:かがくい ひろし『おもちのきもち』/講談社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『おもちのきもち』のご紹介です。
床の間に飾られたりっぱな鏡餅。
そんなお餅にもいろいろ悩みはあるそうで……
奇想天外なストーリーがシュールな笑いを誘います。
コミカルなお餅の表情や動きが楽しいナンセンス絵本。
年末年始やお正月シーズンに読みたい1冊です。
絵本『おもちのきもち』の情報
『おもちのきもち』のあらすじ
床の間に飾られた鏡餅。
そんなお餅にも悩みや心配事があるんです。
「ペッタン ペッタン」
このあいだは、お餅つきで何度も頭をたたかれた……
兄弟たちはペッタンコに伸ばされたり。
プッチンとちぎられたり。
さらにひどい場合は納豆に混ぜられネバネバに……
今は大事にされているけど、いつなんどき食べられることやら……
「ああ おそろしや」
そこでおもちは、逃げだすことにしたのです。
「ペッタン ペッタン ペッタン ペッタン」
「ビロンビロンビローン」
一生懸命走ったおもちは、お腹がすいてしまいました。
そこでちょっと、自分のお餅を味見してみると……
「おや おいしい」
だけどそれって、食べても大丈夫なのかな……?
絵本『おもちのきもち』の内容と感想
「だるまさん」シリーズでおなじみ!
かがくいひろしさんの絵本デビュー作品です。
「ペッタン ペッタン」
「フンゴ フンゴ」
リズミカルで愉快な擬音が楽しい!
シュールな物語と、鏡餅のおかしなキャラクターに笑いがとまりませんよ。
お餅同様、やわらかいタッチのイラストで描かれたナンセンス絵本です。
『おもちのきもち』のタイトルどおり、お餅が気持ちを語ります。
たごさくさん家の鏡餅、実は……
逃げだしたくなるほどの悩みごとを抱えていたんです。
それもそのはず。
もしもお餅に感情があったらと考えてみてください。
杵で力いっぱい叩かれて、伸ばされ、ちぎられ、混ぜられて。
そして最後はパクッと食べられる……
そりゃあ、逃げだしたくもなるはずですよ。
そんな、おもちが走って逃げた先では……
なんだかちょっと、かわいそうな気もするけどね。
おもちのコミカルな表情や動きに、つい笑ってしまいます。
脱走シーンは、へんてこな効果音も相まって、もうたまりません!
最後もなんとなく、おめでたい感じでまとまっているのもお正月にぴったりです。
お餅を食べるおもちの表情がなんとも幸せそうで、お餅が食べたくなる絵本。
だけど、お餅を食べるときは「おもちのきもち」を想像しちゃうかもよ。
受賞歴
- 第27回 講談社絵本新人賞
- 全国学校図書館協議会選定図書
おもちに込めたきもち
「おもちのきもち」を考えたことがありますか?
そんな質問をされても困っちゃいますよね。
「はい、あります」なんて人はきっといないでしょうし。
ペットの犬や猫ならまだしも、おもちの気持ちだなんて。
それこそ、すべてのモノに感情があったら……
そんなことを考えだしたら、きっと普通の生活ができなくなってしましますよね。
でもね、おもちの気持ちはわからなくてもさ。
おもちをつくった人、おもちを飾った人の気持ちならわかるんじゃないかな。
そこに込められた「きもち」に思いを馳せることはできるはずだから。
お持ち以外だってそうですよね。
すべてのモノには、つくった人や必要としている人がいて。
自分には価値がなくても、誰かにとっては宝物になることだってある。
必要以上にモノがあふれている時代だからこそ。
一つひとつを大事に丁寧にあつかう気持ちを忘れないようにしたいよね。
あんまり雑に使っているとさ。
絵本のおもちみたいに逃げだしちゃうかもしれないよ!
以上、お餅にだって悩みはある? お正月にぴったりなナンセンス絵本『おもちのきもち』のご紹介でした。
おしまい。
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