出典:モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』/冨山房
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『かいじゅうたちのいるところ』のご紹介です。
世界中で愛されている、モーリス・センダックの代表作。
イタズラ好きのマックスと、かいじゅうたちによるファンタジーストーリー。
完成度の高い作品性に、子どもからも大人からも大人気の1冊。
何度も何度でも読み返してもらいたい名作絵本です。
絵本『かいじゅうたちのいるところ』の情報
著者:モーリス・センダック/作 じんぐう てるお/訳
出版社:冨山房
出版年:1975年12月
ページ数:40ページ
おすすめ対象年齢:4歳、5歳
読み聞かせ:3歳から
『かいじゅうたちのいるところ』のあらすじ
イタズラ好きのマックスが今日も大暴れ。
おおかみの着ぐるみを着てやりたい放題です。
とうとう怒ったたお母さんに夕ご飯抜きで寝室に放り込まれてしまいます。
するとあら不思議、寝室ににょきりにょきりと木が生えだして。
どんどんのびるとカベも天井も枝と葉っぱに隠れて、辺りはすっかりジャングル。
そこに波がざぶりざぶりと打ちよせて船に乗りこみ、いざ出航!
船に乗って1年と1日航海すると、たどり着いたのは、かいじゅうたちのいるところ。
ギョロッとした目、鋭い爪と牙。
全身毛むくじゃらな見たこともないかいじゅうたち。
すごい声でほえるかいじゅうたちに「かいじゅうならしの魔法」を使います。
するとマックスは、かいじゅうたちの王様に。
大声を張り上げ一緒に「かいじゅう踊り」をはじめると、ジャングルを駆け回り、思う存分遊びます。
だけど何だかさみしくなって、ホームシックのマックス。
遠い遠い世界の向こうから、懐かしいおいしそうなにおいが……
絵本『かいじゅうたちのいるところ』の内容と感想
ちいさな子どもって、ある意味、想像力の世界を生きていて。
特にママやパパに叱られたあとなんかは「自分だけに世界」に逃げ込んだりして。
そんな子どもの心の中をうまく表現したファンタジー絵本。
文字が少なく、そのぶん美しいイラストに引き込まれてしまいますね。
インパクトのあるかいじゅうたちの容姿。
そんな一見怖そうなかいじゅうたちも愛嬌があってチャーミングに描かれています。
マックスとかいじゅうたちが一緒に、踊り駆け回るシーンは躍動感があって楽しそう。
別れの「食べちゃいたいくらい好きだから行かないで」という、かいじゅうたちの言葉はおかしくて、ついつい笑ってしまいますね。
実写映画化もされた作品で、発行部数は国内だけで123万部のミリオンセラー*1。
世界中ではなんと2000万部という桁違いの発行部数をほこっています。
それだけ、いろんな国の子どもたちに愛されている大人気の絵本です。
受賞歴
- コールデコット賞
- 全米図書館協会選定
- 中央児童福祉審議会特別推薦
- 全国学校図書館協議会選定
- 日本図書館協会選定
「ただいま」と言える場所
帰る場所がらあるのってステキなこと。
だからこそ安心して無茶もできるし、失敗をおそれず冒険できる。
絵本のマックスだってきっとそう。
帰る場所があったからこそ、遠くまで出かけても大丈夫。
ぼくは父子家庭で育ったのもあって、家に帰るとだいたいひとり。
我が家のイメージといえば、うす暗くてシーンと静まりかえった、なんだかつめたい空間でした。
大人になって、社会に出てからもひとり暮らしが長かったから、ずっとそれが普通で当たり前だと思っていたけど。
奥さんと出会って、結婚して「いってきます」と言って家を出て。
明かりの灯った家に「ただいま」と言って帰ってくる。
ただそれだけのことで、こんなにも心が安らぐなんて。
自分のなかに軸ができたみたいで、どこまでも強くなれる気がする。
今思うと、子どものぼくは、ずっとさみしかったんだと思います。
「さみしいよ」「ぼくをみてよ!」
マックスのイタズラもきっと、そんな心の叫びなんじゃないのかな。
ぼくにはその気持がよくわかるから。
誰かが迎えてくれる場所。
いつでも戻ってこられる場所。
そんな場所はひとりきりじゃなくて。
なんだか、ほんわかとあたたかくて。
おいしそうな匂いがしていれば、なおよくて。
そういう場所を築いていくことが、今のぼくの目標のひとつ。
子どもにはさみしい思いをさせたくはないから。
以上、世界中の子どもたちから愛される大人気の名作絵本『かいじゅうたちのいるところ』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
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