出典:マリー・ホール・エッツ『もりのなか』/福音館書店
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『もりのなか』のご紹介です。
男の子と動物たちのひとときのふれあいを描いた1冊。
スーッと静かに沁み込んでくるような。
ずっと心の深いところに居座っているような。
1度読めば引き込まれてしまうロングセラー絵本。
何とも言えない不思議な魅力のある作品です。
ぜひ、ご一緒に森のさんぽをお楽しみください!
絵本『もりのなか』の情報
著者:マリー・ホール・エッツ/作 まさき るりこ/訳
出版社:福音館書店
出版年:1963年12月
ページ数:40ページ
おすすめ対象年齢:3歳、4歳
言み聞かせ:2歳から
『もりのなか』のあらすじ
紙の帽子と新しいラッパを持って、森へ出かけた男の子。
次々に出会う動物たちが、さんぽの列に加わります。
ライオンの次は2ひきのゾウ、そしてクマにカンガルー、コウノトリ……
みんなおめかしして、お気に入りのおやつを持って。
さあ、ラッパを吹いて、動物たちと一緒に森のおさんぽ!
どんどん長くなっていく行列。
森中に楽しげな演奏の音色が響きます。
ちょっとテーブルでひとやすみ。
おやつを食べたらみんなで遊ぼう!
ハンカチ落とし、ロンドン橋落ちた。
そして最後は、かくれんぼう。
「もういいかい!」
鬼になった男の子が目を開けると……
絵本『もりのなか』の内容と感想
全編モノクロで描かれた素朴なイラスト。
まるで不思議の国に迷い込んだような、どこか懐かしい、あたたかみを感じる絵本。
森へ出かけた男の子と、そこで出会い、さんぽに加わる動物たちとのお話です。
ライオンは髪をきれいにとかし、ゾウはセーターを着て靴をはき。
クマはジャムとピーナッツを持ち、カンガルーはお腹のポケットに赤ちゃんを入れ。
そしてサルは、よそ行きの服を身にまとい。
男の子と動物たちの演奏行列がはじまります。
マーチングバンドさながら、楽しげでやさしい動物たちの表情がたまりません。
それに、迎えに来てくれたパパは、男の子の突飛な話を否定もせずにやさしく包み込んであげる。
これなら子どもも安心して冒険に出かけられますよね。
ぼくもこんな素敵なパパになりたいものです。
「動物たちはどこに行っちゃったんだろう」
「また会うことができたのかな」
そうやって想像ふくらまして楽しむのも絵本の魅力のひとつ。
大人が読むと、いろいろと深読みしてアレコレ考え込んでしまいそう。
そんな、絵本らしい楽しみ方ができる作品です。
発行部数は107万部のミリオンセラー*1。
コールデコット賞にも輝いたロングセラーの名作。
心の中に深く静かに沁みいるような、印象的な1冊です。
受賞歴
- コールデコット賞
- 厚生省中央児童福祉審議会推薦図書
- 日本図書館協会選定図書
- 大阪市立中央図書館選定図書
続編・シリーズ作品
・またもりへ(1969年3月)
不思議で魅惑の森の中
大きな森の中って、何だか少し怖いイメージがあったりしませんか?
富士の樹海とか、青木ヶ原樹海とか。
薄ぼんやりした雰囲気や、ちょっぴりひんやりとした空気感。
なんだか入り込んだら抜け出せなくなるような……
だからかな、あんまり進んで出かけたくはないかなあ、と思っちゃうんだけれど。
でもそんなこわ~い森だって、絵本みたいな楽しい動物たちがいればきっと居心地いいですよね。
ひとりきりだと不安だけど、みんながいれば安心できる。
『もりのなか』の動物たちみたいにおめかししてさ。
好みのおやつや楽器を持って、一緒に歌ったり遊んだり。
「こわいよ〜、こわいよ〜」
そうやってオドオドいていたらよけいに怖く感じてしまうもの。
不安だったり、自信がないときこそあえて胸をはって歩こうよ!
「そんなときに」じゃなくて「そんなときだから」こそ、笑顔でいきたいね。
行動を変えれば気持ちも変わる。
カラ元気だって、立派な元気。
「もうこない」なんて悲しいことは言いたくないから。
「またね」って気持ちよくお別れしたいですもんね。
以上、心のなかに静かに沁みこむ 不思議な魅力の名作絵本『もりのなか』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
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