出典:レイモンド・ブリッグズ『さむがりやのサンタ』/福音館書店
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『さむがりやのサンタ』のご紹介です。
コマ割りされた漫画みたいなクリスマス絵本。
皮肉屋だけど実はやさしい、人間味あふれるサンタクロースのお話です。
大人も楽しめるロングセラーの人気作品。
クリスマスシーズンには欠かせない定番の1冊です。
絵本『さむがりやのサンタ』の情報
著者:レイモンド・ブリッグズ/作 すがはら ひろくに/訳
出版社:福音館書店
出版年:1974年10月
ページ数:30ページ
おすすめ対象年齢:4歳、5歳、大人
読み聞かせ:4歳から
『さむがりやのサンタ』のあらすじ
クリスマスイブの朝です。
目覚まし時計の音で起こされたおじいさん。
「やれやれ また クリスマスか!」
面倒くさそうに起き上がり、窓から外を覗くと、今日は雪のようです。
トナカイたちに餌をあげて、顔を洗って着替えを済ませます。
「よいしょ こらしょ」
ソリを運んで、山盛りのプレゼントをのせてたら、赤い上着と赤い帽子。
この見覚えのある格好は……
そう、サンタクロース!
町の子どもたちにプレゼントを配りに出かけます。
犬のポチとネコのクロに挨拶したら、さあ、出発です。
空の上はひどい雪に雨、嵐、霧まで。
それでもサンタクロースはとまれません。
「えんとつなんて なけりゃ いいのに!」
ぶつくさ文句をいいながら、一軒一軒プレゼントを配ります。
屋根の上でトナカイと一緒にひと休み。
さぁ あともういっちょう。
そして空はだんだん明るくなってきて……
絵本『さむがりやのサンタ』の内容と感想
福音館書店「世界傑作絵本」シリーズの1冊。
漫画コミックみたいなコマ割りが特徴的。
セリフも吹き出しで描かれたユニークなクリスマス絵本です。
クリスマスといえば、ワクワクと心が踊りますよね。
だけど、おじいさんは朝から機嫌があまりよくなさそう……
なぜかって?
それは、今日のおじいさんはとっても大忙しだから!
そう、この絵本はちょっとサンタらしくないサンタのお話。
サンタクロースのおじいさんの1年で1番忙しい1日の物語です。
「やれやれ」
「まったく!」
ぶつぶつと、なにかと文句ばかり。
だけど、なんだかんだ言いながらきっちり仕事をこなすサンタさん。
愛嬌のあるやさしい人柄が憎めない。
なんだか身近にいそうな人間味あふれるサンタクロースです。
でもまあ、服の下にモモヒキを履いていたりとやけにリアルで……
ちょっと夢がこわれちゃいそうですけどね。
「ま、おまえさんも たのしいクリスマスを むかえるこったね」
捨てゼリフもはいて、最後の最後まで笑わせてくれます。
発行部数は115万部のミリオンセラー*1。
英語の原題でもある「ファーザー・クリスマス」のタイトルでアニメ化もされている人気作。
大人も楽しめるロングセラーのクリスマス絵本です。
受賞歴
・1973年 ケイト・グリーナウェイ賞
続編・シリーズ作品
・サンタのなつやすみ(1998年5月)
サンタだって寒いんだよ!
クリスマスのサンタクロースはとっても大変!
寒いなかをひと晩中走りまわらなきゃいけないし。
時間内に子どもたちへのプレゼントを配り終えなきゃいけないし。
そりゃあサンタだって、文句のひとつも言いたくなりますよ。
ぼくたちは、あたたかいお家で待っているだけだしさ。
それを、サンタなんだから当たり前……で済ましちゃいけませんよね。
さむがりのサンタクロースだっているんだから。
そしてそれは、クリスマスのサンタクロース以外にも言えること。
ぼくたちが快適に暮らすために頑張ってくれている人や、支えてくれている人たちがいる。
「ご苦労様」
「ありがとう」
その気持ちを忘れちゃいけない。
それを当たり前にしてはいけない。
そして思っているだけじゃなくて、ちゃんと言葉にして伝えたい。
サンタさんが困っていたら「一緒に配りましょうか」と言えるような人間でありたい。
ぼくたちは、ひとりだけでは生きているわけではないから。
みんな支え合って、助け合いながら生きているんだからね。
以上、大人も楽しめるクリスマス絵本 人間味あふれるサンタのお話『さむがりやのサンタ』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
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