出典:香山 美子,柿本 幸造『どうぞのいす』/ひさかたチャイルド
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『どうぞのいす』のご紹介です。
うさぎさんがつくった『どうぞのいす』と、ちょっとした勘違いからはじまった、動物たちによるとりかえっこ。
読むだけで少しやさしくなれる気がしてくる。
「思いやり」「優しさ」そんな言葉がぴったりの素敵な絵本です。
絵本『どうぞのいす』の情報
『どうぞのいす』のあらすじ
うさぎさんが小さなイスをつくります。
「さて、この、いす、どこへおこうかな」
少し考えて「どうぞのいす」という立札と一緒に大きな木の下に置きました。
はじめにやってきたロバさんは、イスの上にドングリがいっぱい入ったカゴを置いて、木の下でくうくうお昼寝。
ロバさんが気持ちよくて眠っている間にクマさん、キツネさん、リスさんと次々に動物たちがやってきます。
「どうぞならばえんりょなくいただきましょう」
そう言って動物たちはイスの上に置いてあるのを全部食べてしまいます。
だけどその度に「でも からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく。」
持っていたものを代わりにカゴに入れていきます。
ロバさんが目を覚ましたとき、イスの上にあったのは……?
絵本『どうぞのいす』の内容と感想
「思いやり」や「優しさ」
そんな言葉がぴったりの温かみのある絵本です。
絵本の内容もさることながら、イラストや作中の言葉がさらに読み手心を和ませてくれています。
ちょっとした勘違いからはじまった、とりかえっこの繰り返し。
みんな他の動物たちへの気づかいも忘れずチャーミングで愛おしい。
子どもの心に思いやりを育む。
大人の心にもじんわりと沁み渡る。
読む人をほんわかとした気分にしてくれる素敵な1冊。
発行部数122万部のミリオンセラー作品*1。
「どうぞ」にこめられたやさしさが伝わってくるロングセラーの人気絵本です。
続編・シリーズ
- ぴょんぴょんぱんのかばんです(1982年6月)
- ごろりんごろんころろろろ(1984年1月)
・優しさの恩返し 力を合わせることの楽しさを学べる絵本『ごろりんごろんごろろろ』
「やさしさ」をはじめられる人になりたい
自分のことを優しい人だと思いますか?
あなたは思いやりのある人間ですか?
そんな質問をされて「はい!」と、自信を持って答えられる人って、きっと多くはないですよね。
ぼく自身も胸を張って「優しいです」とはとてもじゃないけど言えません。
「まあ悪い人間ではないと思うけど……」と、ごにょごにょ口ごもってしまいそう。
余裕がなくてイライラすることだってある。
つい自分のことばかりになってしまうことだってある。
だって人間だもの。
でもね、だからこそ「やさしさ」や「思いやり」の心を忘れないようにしたいですね。
「お先にどうぞ」
「何かお困りですか?」
そんな一言を恥ずかしがらずに言える人って素敵ですよね。
言った方も言われた方も優しい気持ちになれる。
心の中にポカポカが湧いてくる。
困ったときはお互い様ですから。
重い荷物だってみんなで持てば軽くなります。
「情けは人の為ならず」という言葉もありますしね。
誰かへの優しさは自分の心に幸せを運んでくれるんです。
「どうぞ」の思いやりが広がれば、きっと世の中も明るくなります。
だからといって期待しているだけでは何も変わらないですよね。
変わるのを待つのではなく自分から。
「どうそのいす」をつくったうさぎさんのように、優しさをはじめられる人になりたいものです。
以上、「どうぞ」に込められた思いやり溢れるロングセラー絵本『どうぞのいす』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
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