出典:ダーロフ・イプカー『よるのねこ』/大日本図書
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『よるのねこ』のご紹介です。
夜のねこって、どんなふうに過ごしているんでしょうか?
そんな疑問に答えてくれる、傑作ねこ絵本。
人の目でみる、まっ暗な景色。
そしてねこの目でみる、色鮮やかな夜の世界。
ページをめくるたびに、コントラストの効いた色使いが楽しい1冊です。
さあ、ねこの夜の探検についていってみましょう。
絵本『よるのねこ』の情報
著者:ダーロフ・イプカー/作 光吉 夏弥/訳
出版社:大日本図書
出版年:1988年3月
ページ数:48ページ
対象年齢:6歳から
『よるのねこ』のあらすじ
お百姓のリーさんのお家に住んでいるねこ。
夜になるといつも外に出してもらいます。
でも、外はまっくら……
ねこはどうするのでしょうか?
ご安心ください!
ねこには夜でもよく見える目がありますから。
それに夜は、ねこにとって1番楽しい時間。
探検にはもってこいの時間なんです。
ねこはそっと暗闇の中を歩いていきます。
鳥小屋のなか、納屋の裏、牧場に野菜畑。
人の目にはまっ暗で、シルエットがうつるだけ。
だけどねこの目には、昼間のようにはっきりと景色がうつっています。
ねこはどこかに向かって歩いているみたい。
道路にそって近くの町へ。
町へ着いたときは何が見えるのでしょうか?
あっ、仲間のねこたちがたくさん待っているね!
絵本『よるのねこ』の内容と感想
ねこのひと晩の探索のお話。
人が見える夜の景色と、猫が見る夜の景色が交互に描かれます。
人が見える景色は当然まっ暗闇。
だけど猫が見える夜の景色は、昼と同じように明るく鮮明。
ページをめくるたびに、黒と色鮮やかなコントラストが楽しい1冊です。
夜の世界。
そこで見えるのは昼間とはちょっと違った景色や生き物たち。
いろんな形や色をした花、立ったまま眠っている馬。
野菜畑を荒らしているうさぎたち。
他にもキツネ、ふくろう、スカンク……
夜になって活発に活動している、たくさんの動物たちの姿。
夜だからこそ出会える景色に、思わずワクワクしてしまいますね。
「何が見えるのでしょうか?」
そんなふうに、読み聞かせでシルエットクイズをしてみても楽しいですよ。
「なんて なまけものの ねこなんだ。よどおし ねていたくせに、ひるもまた いちにちじゅう ねるなんて!」
帰ってきたねこに言った、飼い主のリーさんの言葉。
ねこが昼間に寝ているのにはちゃんと理由があるんですよ、と教えてあげたくなりますね。
ねこと一緒に、夜の世界を冒険しているみたいな気分になれる絵本です。
何が見えるのでしょうか?
ねこの目をとおしてみる世界は、いったいどんなものなのだろう。
きっと、ぼくたちの瞳にうつる景色とはぜんぜん違っているのかな。
もちろん、ねこと人でみえ方が違うのは当然。
だけど同じ人間同士だって、意外と違っているのかもしれないね。
人はそれぞれ、自分の主観をとおして物事をみているから。
実はみんな同じだと思ってるだけで、みえているものは別物なのかも。
同じ場所だって、みる角度や視点を変えれば、そこにはまったく違う景色が広がっているんだから。
だから人によって異なる感じ方をするのは当たり前。
なのにぼくたちは、つい自分と同じ価値観を他人に求めてしまいがち。
「そんなのおかしい」
「どうしてわかってくれないんだろう」
そうやって自分のなかの「正しさ」を押し付けちゃう。
ぼくたちはみんな違う存在なのにね。
ねこと人ほどじゃないにしてもさ。
お互いを、それぞれを。
尊重しあえる方がすてきなんだから。
さて、あなたには何が見えるのでしょうか?
以上、何が見えるのでしょうか?夜の世界を探検できる傑作ねこ絵本『よるのねこ』のご紹介でした。
おしまい。
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