出典:ハンス・ウィルヘルム『ずーっとずっとだいすきだよ』/評論社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ずーっとずっとだいすきだよ』のご紹介です。
男の子の「ぼく」と、犬のエルフィー、兄弟のように育った仲よしな2人の物語。
そして、生き物と一緒に暮らせば必ず訪れる「死別」をテーマにしたお話です。
「大切な相手には、思いを言葉にして伝えよう」
そんなことを考えさせられる、あたたかい1冊。
小学校の教科書に採用された名作絵本です。
絵本『ずーっとずっとだいすきだよ』の情報
著者:ハンス・ウィルヘルム/作 久山 太市/訳
出版社:評論社
出版年:1988年11月
ページ数:30ページ
おすすめ対象年齢:6歳、小学校低学年、大人
読み聞かせ:5歳から
『ずーっとずっとだいすきだよ』のあらすじ
男の子の「ぼく」と、犬のエルフィーは子どものころからずっと一緒。
毎日一緒に遊んで、一緒に夢を見て、一緒に大きくなりました。
リスを追いかけるのが好きなエルフィー。
ママの花壇を掘り返したり、時々悪さをして怒られることもあったよね。
それでもお兄さんや妹、家族みんなエルフィーのことが大好きでした。
時が経って、男の子の背がエルフィーより大きくなって。
犬のエルフィーは、男の子よりも早く成長して、早く歳をとってしまいました。
しだいに寝ていることが多くなり、散歩を嫌がるようになった……
そしてまもなく階段ものぼれなくなってしまいました……
「エルフィー、ずーっと、だいすきだよ」
男の子は寝る前に必ずエルフィーに言ってあげました。
家族もエルフィーのことを大好きでしたが、誰もそれを口に出しては言いませんでした。
そしてある朝、目を覚ますとエルフィーが……
絵本『ずーっとずっとだいすきだよ』の内容と感想
犬や猫、生き物を飼った人なら必ず経験する「死別」をテーマにした作品。
ペットであり、家族でもある動物との別れは、本当に悲しくて……
せめて「愛している」と言葉で伝えておけばよかった。
エルフィーの死がきっかけで、男の子の家族と一緒に「伝えることの大切さ」を考えさせられます。
「すきなら、すきと いってやればよかったのに だれも、いってやらなかった。いわなくっても、わかると おもっていたんだね。」
この言葉が絵本の本質であり、とっても大切なポイント。
死んでしまってからでは、もう「好きだ」と言えなくなってしまうから。
男の子にとって救いは、ちゃんと思いを伝えていたこと。
だから深い悲しみのなかでもエルフィーの死を受け入れることができたんじゃないのかな。
エルフィーはきっと最後まで幸せだったよね。
男の子がエルフィーのことを「世界で1番すばらしい犬」言ったようにさ。
エルフィーも、すてきな飼い主であり友だちの男の子と一緒に過ごせたんだから。
そして、エルフィーが亡くなってからの、ラストの展開もすてき!
もう犬は飼わないではなく、エルフィーへの妙な罪悪感もなくて、未来への前向きさが気持ちいいですね。
エルフィーの「死」という悲しい結末だけど、やさしさと希望が感じられる終わり方です。
犬を飼っている人や、飼った経験がある人には、涙なしでは読めません!
小学校の教科書に採用された名作絵本です。
受賞歴
- 教科書「こくご1」(光村図書)採用
- 全国学校図書館協議会選定図書
- 日本図書館協会選定図書
ちゃんと言葉にして伝えなきゃね
「言わなくてもわかってくれる」
ぼくたちはつい、そんなふうに考えてしまいがち。
でもね、言わなきゃ伝わらないことがあるんです。
たとえ伝わっていても、言葉にしてもらいたいときだってあるんです。
大切な相手が、思いを伝えられる距離にいる。
それって、けっして当たり前なんかじゃないから。
「あのとき言っておけばよかった」
そうやって後悔してからでは遅いですもんね。
「大好きだよ」
「大切に思っているよ」
大好きな人には「だいすき!」を伝えよう。
大切な人には「たいせつ!」な気持ちを言葉にしよう。
はじめはちょっと照れくさいかもしれないけどさ。
なんにも恥ずかしがる必要なんてないんだから。
エルフィーに「だいすき」を伝えつづけた男の子みたいに、ちゃんと言葉にしてね。
言語の違う人と犬でも通じ合えるんだから。
人と人ならもっと簡単に心に届くはず。
子どもに、旦那さん、奥さん、両親に、友達に。
すべての大切な人たちに言葉にして伝えようようよ。
「ずーっとずっと、だいすきだよ」ってね。
以上、思いを伝える大切さを教えてくれる名作絵本『ずーっとずっとだいすきだよ』のご紹介でした。
おしまい。
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