出典:レオ・レオニ『あおくんときいろちゃん』/至光社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『あおくんときいろちゃん』のご紹介です。
絵本作家レオ・レオニのデビュー作。
自身の孫のためにつくった、ぬくもり溢れる1冊です。
なんといっても挿絵がちょっと特徴的。
イラストがすべて、絵の具を垂らしたような点や模様だけで描かれた絵本なんです。
そして主人公の、あおくんときいろちゃんは、ちぎった紙を貼りつけたような「まる」
シンプルながら大人も子どもも楽しめる内容。
長い間ずっと愛されている、想像力を育むロングセラー絵本です。
絵本『あおくんときいろちゃん』の情報
著者:レオ・レオニ/作 藤田 圭雄/訳
出版社:至光社
出版年:1967年
ページ数:39ページ
おすすめ対象年齢:2歳、3歳
読み聞かせ:2歳から
『あおくんときいろちゃん』のあらすじ
あおくんと、きいろちゃんはとっても仲よし。
お友達もたくさんいます。
かくれんぼしたり、飛んだり跳ねたり。
みんなで仲よく遊びます。
ある日、あおくんはママからお留守番をお願いされます。
だけどあおくんは、きいろちゃんと遊びたくて、お出かけしてしまいました。
お家に行っても、きいろちゃんはお留守です。
きいろちゃんは、どこだろう?
あちこち探して、ようやく町でばったり。
うれしくて、うれしくて、ひっついたらみどりになっちゃった!
そのまま2人は公園に遊びに行きます。
トンネルくぐりをしたり、おれんじちゃんと追っかけっこしたり。
いっぱい遊んで、あーくたびれた。
あおくんのお家に帰ると、パパとママは言いました。
「おや この みどりのこ うちの あおくんじゃないよ」
きいろちゃんのおうちでも、パパとママは言いました。
「おや この みどりのこ うちの きいろちゃんじゃないよ」
2人は悲しくなって泣いて泣いて、ぜんぶ涙になってしましました……
さて、あおくんときいろちゃんは、お家に帰ることができるかな……?
絵本『あおくんときいろちゃん』の内容と感想
『スイミー』などで知られるアメリカを代表するアーティスト、レオ・レオニの絵本作家としてのデビュー作。
仲良しな、あおくんときいろちゃんのお話です。
シンプルながら、子どもたちが共感できる楽しいストーリーですよね。
と、思いきや、ちょっと待って!
この絵本、なんだか違和感がないですか?
そうなんです、よくみると挿絵がちょっと特徴的です。
イラストがすべて、絵の具を垂らしたような点や模様だけで描かれた絵本なんです。
そして主人公は擬人化された「色」
しかも、ただちぎった紙を貼りつけたような「まる」
その青や黄色のまるが、生き生きと動きまわります。
読みおわるころには、ちゃんと意思を持つ生き物のように見えるから不思議。
こんなにシンプルな絵で、これほどしっかりした物語ができるんだから驚きですね。
実はこの絵本、作者のレオ・レオニが孫のためにつくった作品なんです。
絵本につくろうとしたわけなくて、子どもを喜ばせようとしたら偶然できた絵本なんだそう。
『あおくんときいろちゃん』が、子どもたちに愛されるのも納得ですね。
読み聞かせでは、想像力をふくらませて大人も一緒に楽しめます。
「色が重なると、違う色になる」
大人にとっては当たり前なんですが、子どもからすれば不思議に感じるみたい。
青と黄色で緑になる。
ちょっとした調色のお勉強にもなりますよ。
古典とも言えるロングセラー。
世界中の子どもたちから親しまれている名作絵本です。
受賞歴
・ニューヨーク・タイムズ紙 絵本ベスト賞
新しい「色」がつくる可能性
「朱に交われば赤くなる」なんて、ことわざもあるけどさ。
あおくんときいろちゃんは、交わってみどりになっちゃった!
人と人とが交わって異なる色になる。
違う誰かと影響を与えあって、新しい色をつくる。
「十人十色」
一人ひとり違う色同士が重なって、11色でも20色にでもなれるだよね!
これって、とっても素敵なことだと思いませんか?
ひとりではできないことも、2人だとできる。
さらに3人なら、もっと大きなことができたりする。
人とのつながりって、可能性を広げてくれるんですよね。
交わること、変わることって大事なことなんです。
でもさ、「変わる」って、ちょっとこわいと思う部分もあったりして。
だって、今の自分じゃなくなってしまいそうだから。
みどりになって、パパとママから分かってもらえなかった、あおくんときいろちゃんみたいにね。
だけどね、変化をおそれてちゃ何もはじまらない。
それにさ、ぼくたちはひとりじゃ生きていけないから。
誰かとつながりたいって欲求は、我慢なんてできないよね。
以上、みどりになっちゃった!? 絵本作家レオ・レオニのデビュー作『あおくんときいろちゃん』のご紹介でした。
おしまい。
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