出典:LEE,酒井 駒子『ヨクネルとひな』/ブロンズ新社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ヨクネルとひな』のご紹介です。
ひなちゃんのお家に子ねこがやってきました。
それは弱々しく、青い目をした小さな命。
そんな女の子と子ねこの、出会いと成長を描いたお話です。
美しいイラストも素敵な、あたたかい気持ちにさせてくれる1冊です。
絵本『ヨクネルとひな』の情報
『ヨクネルとひな』のあらすじ
お家の外から「みぃ〜みぃ〜」と、誰かのなき声がきこえてきます。
ドアを開けると、そこにはぼそぼそで痩せっぽっちの子ねこ。
野良ねこのお母さんにお願いされて、弱った子ねこを飼うことに。
だけど、ひなちゃんはちょっと不満気です。
「ねこを かうなら ペットショップの かわいいこが いいのに」
お家にお戻ってやさしくふいてあげると、大きな青い目がひなちゃんをみつめました。
「わぁ……きれいな め」
ひなちゃんが子ねこをそっと抱いてみると、そこに小さな命を感じます。
ミルクを舐め終えた子ねこは、棚の下に隠れてしまいました。
慣れるまでそっとしておいてあげましょうね。
そのあいだに、ひなちゃんとおかあさんは子ねこのためにトイレやベット、首輪をつくってあげます。
お母さんが子ねこのごはんを買いに出かけ。
ひなちゃんはお留守番しているあいだに小ねこの名前を考えます。
しばらくして子ねこの様子をみにいくと……
さっきまでいたはずの場所に子ねこは見当たりません!
どれだけお家の中を探しても子ねこはいません。
お外に出てしまったのかもと、お庭に探しても見つからず。
「もしかして まよって とおくに いっちゃったのかも!」
ひなちゃんがクローゼットにコートを取りにいくと……
絵本『ヨクネルとひな』の内容と感想
女の子のひなちゃんと子ねこの、出会いと成長の物語。
酒井駒子さんによる美しいイラストが印象的な1冊です。
やってきた子ねこは少し病気がち。
汚れて、お世辞にもきれいといい難い状態です。
「めが びょうきみたいだし きもちわるいよ……」
「ペットショップの かわいいこが いいのに」
子どもならではのストレートでちょっぴりきびしい言葉。
はじめはひなちゃんにとって、子ねこを飼うことは、きっとかわいいお人形みたいな感覚だったんですよね。
だけど必死に生きようとする小さな命にふれ、しだいに子ねこを大切に思うようになっていく。
そして、ひなちゃんのママもすばらしいです。
怒るのでも諭すのでもなく、ひなちゃん自身が気づくのを待っていて。
場面は移り、子ねこがいなくなり、自分が迷子になったときの不安だった気持ち思い出すシーン。
迷子の子ねこ思いやり、必死になってすひなちゃんをみていると、胸がきゅっと苦しくなります。
子ねこがみつかり、ママが帰ってくると安心して泣いてしまう。
きっと怖くて、不安で、たまらなかったんだろうな。
「よく寝る」から、名付けられた「ヨクネル」
かわいい名前をつけてもらってよかったね。
きっとあずけていった子ねこのママや兄弟たちも安心しているんじゃないのかな。
あたたかい気持ちに包まれながら、かわいいヨクネルに癒やされる。
そんな、心がやさしくなれるような素敵な絵本です。
捨て猫との思い出
絵本『ヨクネルとひな』は、すごく心に響いた1冊です。
ぼくも捨て猫を拾って飼っていたことがあるから。
正確には、ぼくの友人が拾ってきて、それをぼくの家に捨てて帰ったんだけど。
1日に2度も捨てられた不憫な2ひきの子ねこ……
当時は実家暮らしで親も少し反対していたんだけどね。
だけどあまりにか弱く、今にも消えいりそうな小さな命を見捨てることができなくて。
それにね、ヨクネルの場合と違って、ひと目みた瞬間にもう子ねこの可愛さにメロメロだったから。
さすがに1日に3度も捨てられるのはかわいそうすぎるしね。
まだ生まれて間もなく、自分だけではおしっこもできないくらい。
ミルクだってスポイトを使わないと自力で飲めないほど小さな2ひきのメス猫。
幸い元気に育ってくれて、スクスクと成長してくれました。
20年近く生きて、2ひきとも天国へ行ってしまったのだけどね……
彼女たちは幸せだったのかな、なんてときどき考えます。
まあ、考えても仕方がないことなんだけどさ。
ヨクネルも、ひなちゃんのお家で幸せなに暮らしているのかな。
以上、少女と子ねこの出会いと成長の物語 美しく心あたたまる絵本『ヨクネルとひな』のご紹介でした。
おしまい。
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