出典:マージェリィ・W・ビアンコ,酒井 駒子『ビロードのうさぎ』/ブロンズ新社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ビロードのうさぎ』のご紹介です。
男の子の「本当の友だち」になることを、願いつづけたビロードのうさぎのお話。
名作『The Velveteen Rabbit』が新たに生まれかわりました。
男の子の「本物」になりたくて。
自分の「本物」に自信が持てなくて。
そんなビロードうさぎに「こども部屋の魔法」が奇跡をおこします……
いつまでも心に居座るつづけるような、切なく胸にひびく1冊です。
絵本『ビロードのうさぎ』の情報
『ビロードのうさぎ』のあらすじ
クリスマスの日、男の子にプレゼントされた、ビロードのうさぎのぬいぐるみ。
他のおもちゃたちと一緒に、子ども部屋で暮らすことになりました。
ある日、子ども部屋の住人の中でも、一番古くてかしこいウマが教えてくれました。
おもちゃたちの願い。
それは、心から大切に想われ、子どもの「本当の友だち」になることだと。
そして、男の子のお気に入りになったうさぎ。
毎晩一緒に寝むり、いつも一緒に遊びました。
汚れてぼろぼろになっても、うさぎは幸せだった。
それは「こども部屋の魔法」で、男の子の「本当のうさぎ」になったと信じていたから。
男の子と過ごす時間の中で、自分が「本物」であることを実感しながら、日々を送っていたビロードうさぎ。
ところが別れは突然やってきました。
男の子が感染性の病気を患い、身のまわりにあるもの全てを処分することに。
悲しみにくれるビロードうさぎが涙を流したとき、奇跡がおこります……
絵本『ビロードのうさぎ』の内容と感想
ぼうやの「本当の友だち」になることを夢見たビロードのうさぎの物語。
1922年に発表された古典的ロングセラー『The Velveteen Rabbit』
その名作が、酒井駒子さんの繊細な絵と抄訳でよみがえります。
子どもたちにとって、長い時間を過ごしたオモチャは、オモチャではなく友だちなんですよね。
絵本の男の子にとっても「本物のうさぎ」だったし「本物の友だち」だった。
そしてそれは、ビロードうさぎにとっても同じこと。
だからこそ男の子との別れが悲しかった。
こんな終わり方に納得ができなかった。
ビロードうさぎの心境をを思うと、胸が苦しくなりますね。
「あの人の本物になりたい」
「自分に自信が持てない」
そんなふうに、人はどこかで「本物」になりたいと願っているもの。
誰かの「特別」でありたいと思ってしまうもの。
そしてそれが、別れの痛みを強くしてしまったりもして……
「本物って何だろう……」
そんなことを考えさせられる、魅力のある1冊。
心に響く、美しくも切ない名作絵本。
ぜひ、大人にも子どもにも1度は読んでほしい作品です。
「本物」って何なんだろう
本物の友だち。
本物の家族。
僕たちは、そんな「本物」という言葉につい惹かれてしまいます。
だけどさ、「本物」って何なんだろうね。
「本物」か「偽物」か。
「正解」か「不正解」か。
いったい誰が決めるんだろう。
もっといろんな形があっていいんじゃないかな。
ぜったいに「こう」と決めつけて、それ以外を認められないなんてつまらないよ。
「みんなが言っているから」
「普通はそんなことしないから」
まわりの人たちや、世間が何を思うかは関係なくて。
大事なことは、他人ではなくて自分がどう感じるか。
人の意見や、どう見られるかばかりに縛られていたら息苦しいだけだよね。
ぼくの思う「本物」があってもいい。
あなたの思う「本物」があってもいい。
そのどちらも間違いじゃないんだよ。
人形のうさぎが友だちだって、何もおかしくはないんだ。
自分の生き方を決めるのは自分自身なんだから
信じる道を生きた、ビロードのうさぎみたいにね。
以上、「本物」になりたかった人形の物語 切なく美しい名作絵本『ビロードのうさぎ』のご紹介でした。
おしまい。
コメントを書く
コメントはまだありません。