出典:長谷川 義史『おかあちゃんがつくったる』/講談社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『おかあちゃんがつくったる』のご紹介です。
作者である、長谷川義史さんの幼少時代の実話をもとに描かれた1冊。
得意のミシンでなんでもすぐにつくってくれる、お母ちゃんと「ぼく」の物語。
笑いあり、切なさあり、でもやっぱり笑顔になれる。
そんな、愛おしくもあたたかい、家族のお話です。
絵本『おかあちゃんがつくったる』の情報
『おかあちゃんがつくったる』のあらすじ
小学3年生のよしふみくんは、ねえちゃんと、おかあちゃんと3人家族。
おかあちゃんはミシンとっても得意です。
ジーパンがほしいと言えば、つくってくれます
「ジーパンなんか かわんでも おかあちゃんが ミシンで つくったるわ」
そう言って、剣道のはかまのきれでジーパンのできあがり。
体操服やカバンも「おかあちゃんがミシンでつくったる」と、あっというま。
だけど、おかあちゃんがつくるものはちょっと変。
ワイシャツみたいなつるつるの体操服に、カバンには名前の刺繍というありがた迷惑……
そんなだから学校で着てみると、いつもみんなに笑われてしまうんです。
ある日、父親参観のお知らせを配られます。
行くと言う、おかあちゃんと、恥ずかしいから来なくていいと言う、よしふみくん。
そしてつい勢いあまって、思ってもいないことを口にしてしまいます。
「おとうちゃん つくってえな なんでも つくれるって いうたやん」
でもさすがに、おとうちゃんはミシンでつくれません。
おかあちゃんは悲しい顔になってしまいました……
そして父親参観の日に、教室にあらわれたのは……?
絵本『おかあちゃんがつくったる』の内容と感想
主人公の「ぼく」、よしふみくんは、長谷川義史さん本人。
作者の子どものころの実話をもとに描かれた絵本です。
あたたかくて切なくて、だけど笑える、愛すべきおかあちゃんと親子の物語。
子どもにとって、みんな違うというのは避けたいことだったりしますよね。
おかあちゃんのちょっと独創的なセンスは、良くも悪くも目立っちゃうから。
友だちから笑われるのは嫌だもんね。
だからこそ、父親参観におかあちゃんがくるのが恥ずかしかった。
結果、おかあちゃんを傷つけるようなことを言ってしまったりしてね。
でもそれはさ、本心からの言葉じゃないんだよ。
そんな、ひとりで家族を支えるおかあちゃん。
父親を亡くしてしまって苦労が多くても、いつも元気で前向きです。
絵本では描かれていないけれど、あまり裕福ではないのかな。
ほんとは買ってあげたくても、買えない事情があったのかもしれないね。
それでも子どもたちの前では気丈にふるまう、おかあちゃん。
ちょっとくらい変でも、許してあげてほしいな。
子どもへの読み聞かせだけでなく、ぜひ大人にも読んでほしい1冊です。
受賞歴
- 第23回 けんぶち絵本の里大賞 びばからす賞
- 第5回 MOE絵本屋さん大賞2012 第12位
続編・シリーズ作品
・てんごくのおとうちゃん(2008年11月)
おかあちゃんみたいな素敵な大人になりたいな!
絵本のおかあちゃんはさ、女手ひとつで2人の子どもを育てる肝っ玉母ちゃん。
子どもに心配かけまいと気丈にふるまって。
いつも元気でいるその姿には、ほんと頭がさがります。
ぼく自身も片親だったから、大人になったから読むといろいろ思うところがある絵本です。
まあ、うちの場合は父親だったし、絵本のおかあちゃんみたいにオチャメじゃなかったけどね。
でもまあ、親になって痛感したのは、子育ては大変だってこと。
なかなか思うようにいかなかったり、自分の時間もあまりとれなかったりね。
もちろん楽しいこともあるけど、大変なことも多いです。
育児にかかわらず、実際に経験してみないとわからないことってたくさんありますよね。
人ってさ、年齢を重ねたら自動的に大人になれるわけじゃなくて。
子どもが生まれたら大人になれるわけでもなくてね。
いろんな経験をつんで成長していく。
大切ものを守るために強くなっていく。
そうやって少しずつ大人になっていくんですよね。
絵本のおかあちゃんはさみたいにさ。
愛するわが子のためなら、親はどこまでだって強くなれるんだから!
以上、笑い、切なさ、やっぱり笑顔 実話をもとにした家族の絵本『おかあちゃんがつくったる』のご紹介でした。
おしまい。
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