動物たちの表情がたまらない! 哀愁漂うユーモラスな絵本『とんでもない』

出典:鈴木のりたけ『とんでもない』/アリス館

みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。

今日は、絵本『とんでもない』のご紹介です。

「とんでもない」
そんな一言からはじまる動物たちによる悩みの告白。

彼らの人間味のある、哀愁漂う表情がたまりませんね。

つい引き込まれて何度も読み返してしまう1冊。
大人も子どもも楽しめるユーモラスな作品です。

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絵本『とんでもない』の情報

著者:鈴木のりたけ/作
出版社:アリス館
出版年:2016年2月
ページ数:36ページ
対象年齢:4歳から

『とんでもない』のあらすじ

自分が「普通」であることを悩む男の子。
サイの鎧のような皮が、かっこいい憧れます。

「さいは いいなあ」と、うらやんでいると。
すると……「とんでもない」

ドデンとイスに腰掛けたサイが反論します。
なんと、皮の鎧はすごく重たくて苦労しているみたい……

そしてサイが言います。
「うさぎみたいに みがるに ぴょんぴょん はねまわって みたいよ」

すると……またも「とんでもない」

真剣な眼差しのウサギが反論します。
なるほど、跳ねすぎちゃって困ることもあるみたい……

そしてウサギは、ゆったり海を泳ぐクジラに憧れます。

クジラ、キリン、とり。
みんなそれぞれ悩みや苦労があるようで、他の動物をうらやみます。

そして最後にライオンが、なりたいと選んだのは……?

出典:鈴木のりたけ『とんでもない』/アリス館

絵本『とんでもない』の内容と感想

なんの取り柄もないと嘆く男の子が、サイをうらやましく思います。
だけどサイはウサギがうらやましくて、ウサギはクジラがうらやましい。

みんなそれぞれ人にはわからない悩みがあるもんなんですよね。
そんな動物たちの悩みをコミカルに描いた1冊です。

デフォルメされつつもリアルに描かれた動物たちのイラスト。
みんなどこか人間臭い表情で、妙に迫力があります。

サイが葉巻のようにニンジンをくわえていたり、ウサギの切羽詰まったような顔。
悩みを告白しているときの哀愁や悲壮感がなんともたまりませんね。

さらに、最後にミニクイズのオマケがあったり、背表紙に描かれた動物たちの日常の1コマがあったり。

細かいところまでつくり込まれた素敵な作品。
繰り返して楽しめる仕掛けがあるのも嬉しいところです。

「誰だって悩みや苦労を抱えて生きている」
そんな、みようによってはなかなか深いテーマの絵本なのかも?

大人も子どもも楽しめる、ユーモラスな1冊です。

受賞歴
・第9回 MOE絵本屋さん大賞2016 第4位

出典:鈴木のりたけ『とんでもない』/アリス館

人それぞれ悩みや苦労がある

ぼくたちはつい、自分の価値観や物事を考えてしまいます。
自分のみえる範囲で「こういうものだ」と決めつけてしまいがち。

でもね、相手の立場になってみないとわからないことがあるんです。

「みんな楽しそうでいいなあ」
「あの人は幸せそうでいいなあ」

そうやって一面だけをみて、うらやましく感じたり。
苦労もなく楽をしていると、勝手に他人を貶めたり。

だけどそれって、ただの思い込みでしかないんですよね。
ほんと「とんでもない」

みんな少なからず、悩みや苦労はあるものなんです。

一人ひとり違うからまったく同じにはなれないけれど。
だけどね、想像して思いやることはできるはずだから。

サイにはサイの事情があって、ウサギにはウサギの事情があるように。
もちろん人間の子どもだって、大人だって、その人なりの事情があったりするものなんです。

「何か事情があるのかもしれないな」
そうやって思えたほうが、きっと人間関係は円滑に進むんじゃないのかな。

それにさ、他人にも自分にも優しくなれると思うから。
だからね、相手の立場にたって考えることってとっても大事なんだよね。

以上、動物たちの表情がたまらない! 哀愁漂うユーモラスな絵本『とんでもない』のご紹介でした。

おしまい。

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