出典:ハンス・フィッシャー『こねこのぴっち』/岩波書店
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『こねこのぴっち』のご紹介です。
小さくて頼りなさ気な、ぴっち。
そんな子ねこの自分探しの冒険を描いたお話。
やさしさと愛情があふれている1冊です。
世界中で愛され続ける、名作絵本の世界をお楽しみください。
絵本『こねこのぴっち』の情報
『こねこのぴっち』のあらすじ
りぜっとおばさんの家に住む、父さん猫のまりと、母さん猫のるり。
そしてその2ひきの間に生まれた、5ひきの子ねこ。
ぐりぐり、ぐろっき、ぱっち、みっち、ぴっち。
みんな、いたずらばかりのやんちゃ放題。
たけどぴっちは、他の兄弟たちと違うことをして遊びたったのです。
裏庭に行って、おんどりの立派な歩き方に憧れてマネをしたり。
ヤギになりたいと、頭に木を2本つけてみたり。
しまいには、アヒルのマネをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます
それでも懲りずに、お次はウサギになったつもりで、みんなと一緒に小屋に飛び込みました。
夜になると、ぴっちが中にいることを知らないりぜっとおばあさんが、ウサギ小屋に鍵をかけてしまいます。
体がぬれて凍えそうなぴっち。
このままで気づいてもらえないと大変です……
絵本『こねこのぴっち』の内容と感想
りぜっとおばあさんと幸せに暮らしている、たくさんの動物たち。
そこで飼われている5ひきの子ねこの中で、一番小さくて、おとなしいぴっちの自分探しの物語。
他の動物たちと関わりあいながら、自分の求める「何か」を探していきます。
家を抜けだし、小さな冒険に出たぴっち。
最後には、犬のべろやおばあさんたちの助けを借りて、自分の家に戻ってきます。
衰弱したぴっちをみて涙を流し、献身的に看病してあげるりぜっとおばあさん。
絵本のなかで言葉を話す場面はないですが、やさしさと愛情が伝わってきますね。
動物たちがみんな、ぴっちを心配して手土産を持って御見舞に。
弱ったぴっちのために乳母車をつくったり。
落ち込んだぴっちを笑わせてあげようと庭でイベントを開いたり。
そんなみんなの、あたたかく深い愛情に包まれて、自分の求めていた答えに出会います。
何物かになりたかった子ねこ。
どこかに居場所を求めた、ぴっち。
だけど欲しかったものは、ずっとすぐそばにあったんですね。
1954年に「岩波の子どもの本」として出版され、1987年に装丁などが異なる大型本が発売されました。
現在では、新旧、両方の絵本が併売されています。
著者のハンス・フィッシャー生誕100周年となる、2009年にはアニメ化もされた人気作。
世界中で愛され続ける名作絵本です。
探しても見つからないもの、探したからこそ見えるもの
若いときほど、近くにあるものが見えなかったりするんですよね。
どうしても遠くに目がいっちゃう。
自分にない「何か」を求めてみたり。
ここではない「どこか」を探したり。
ぴっちみたいに、違う「誰か」になろうとしてみたりね。
悩んで、迷って、必死にもがいて。
「自分だけの特別」が欲しくて仕方がなくて。
でもそれ自体、決して悪いことでもないのかな。
若いうちはいっぱい挑戦して、たくさん冒険すればいいと思うから。
でもさ、結局そういうのって、ふとした瞬間に気づくものだったり。
かといって、探して見つかるものではないんだけど、探したからこそ見えるものもあったりして。
つらい思いをしたけど、その分みんなのあたたかさを知った、ぴっちみたいにさ。
幸せとか、本当に大切なものって、いつだってすぐそばにあるんだけど。
それに気づくためには、自分自身の成長が必要だったりするのかな。
以上、子ねこの自分探しを描いた冒険物語 世界中で愛され続ける名作絵本『こねこのぴっち』 のご紹介でした。
おしまい。
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