出典:なかえ よしを,上野 紀子『ねずみくんのチョッキ』/ポプラ社
みなさん、こんにちは。
絵本ソムリエのニコパパです。
今日は、絵本『ねずみくんのチョッキ』のご紹介です。
小さくて可愛いねずみくんの、ちょっぴり自慢気な表情からはじまる、この絵本。
この一冊からねずみくんは、累計500万部を超える大人気「ねずみくん」シリーズの主人公に。
いつだって優しさを感じられるねずみくんの世界は、子どもにも大人にも愛されています。
ねずみくんは世代をこえて愛され続ける、ずっと変わらないみんなのお友達です。
絵本『ねずみくんのチョッキ』の情報
『ねずみくんのチョッキ』のあらすじ
「おかあさんがあんでくれたぼくのチョッキ。ぴったりにあうでしょう」
自慢の赤いチョッキを着て嬉しそうなねずみくん。
そこにアヒルくんがやってきます。
「いいチョッキだね。ちょっときせてよ」
お次はサルくんがやってきます。
「いいチョッキだね。ちょっときせてよ」
アシカくん、ライオンくんと、次々に仲間の動物たちがやってきて……
「すこしきついがにあうかな?」
あらあら、そんな着方でチョッキは大丈夫かな?
みるみるうちにチョッキはどんどんのびて……
絵本『ねずみくんのチョッキ』の内容と感想
自分だけの「特別」をつい誰かに自慢したくなる気持ち。
「いい!」と思ったものを他の人と分かち合いたくなる気持ち。
大切だからこそ、自分の手の届くところに置いて大事にしたいと思う気持ち。
どの気持ちも本当によく分かりますよね。
この『ねずみくんのチョッキ』は、そんな「気持ち」を感じたり共感できる温かみのある作品です。
「いいチョッキだね。ちょっときせてよ」
「すこしきついがにあうかな?」
言葉の繰り返しと共に描かれる、動物たちの嬉しそうな顔とユーモラスな表情。
次々とチョッキを着ていくさまは、まるでタスキをつないでいくリレーのような一体感です。
シンプルな内容だけど、愛おしくて何度でも読み返してしまいます。
大人気「ねずみくん」シリーズのはじまりの物語。
1974年の出版以来、ずっと読みつがれているロングセラー絵本です。
2010年には『ねずみくんのチョッキ』を含む、ポプラ社が発刊する絵本5作品を3D映像化した「とびだす絵本3D」として映画化もされましたね。
31作品のシリーズ累計は500万部を数えるほどの人気です。
『ねずみくんのチョッキ』だけでみてもは、発行部数108万部のミリオンセラー*1。
40年以上にわたり子供たちに愛され続けている名作絵本です。
受賞歴
- 1975年度 第6回講談社出版文化賞絵本賞
- 1975年度 産経児童出版文化賞推薦
- 1975年度 厚生省児童福祉文化奨励賞
- 全国学校図書館協議会 第21回選定「よい絵本」
続編・シリーズ作品
【ねずみくんシリーズ】
- ねずみくんのチョッキ(1974年8月)
- りんごがたべたいねずみくん(1975年5月)
- また!ねずみくんのチョッキ(1976年3月)
- ねみちゃんとねずみくん(1976年11月)
- ねずみくん ねずみくん(1978年5月)
- ねずみくんのたんじょうび(1978年6月)
- コップをわったねずみくん(1980年6月)
- ねずみくんのひみつ(1981年5月)
- ぞうさんとねずみくん(1982年4月)
- ねずみくんとブランコ(1983年12月)
- ねずみくんとおんがくかい(1987年11月)
- それいけ!ねずみくんのチョッキ(1997年7月)
- ブルくんとねずみくん(1997年9月)
- いじわるねことねずみくん(1998年2月)
- とりかえっこ!ねずみくんのチョッキ(1999年9月)
- ねずみくんとホットケーキ(2000年9月)
- ねずみくんとゆきだるま(2001年10月)
- ねずみくんのしりとり(2002年3月)
- なぞなぞねずみくん(2002年11月)
- また!ねずみくんとホットケーキ(2003年7月)
- ねずみくんのクリスマス(2003年10月) などがある
ねずみくんのチョッキ 40 th anniversary 特設サイト
大切にしたい「もの」
みなさんにとって大切なものって何ですか?
大好きな人からの贈りものであったり。
一生懸命、努力して手に入れたものだったり。
きっと人それぞれ違った「大切」があって。
絵本のねずみくんにとっては、それがお母さんが編んでくれた赤いチョッキ。
心のこもった「大切」が詰まった自分だけのもの。
他人からしたら大したものじゃなくても、本人にとっては代えがたいもの。
べつに高価でもない、どこにでもあるようなペン。
だけどあこがれの人からもらうと、それが宝物になったりする。
幼いころ、コツコツおこづかいをためて買ったおもちゃ。
費やした努力や時間が価値になる。
「もの」そのものよりも、そこに込められた想いこそが「特別」なんですね。
その記憶は何年たっても記憶は色あせることなくがなくて。
何年たっても当時の想いを呼び起こしてくれます。
ねずみくんチョッキのように、多少傷んでも形を変えても、そこにあった想いは変わりませんから。
そういう意味では絵本ってすごく想いが詰まったもの。
一般的な本に比べて何十年も前に発売されたものがずっと読まれていたりして。
ぼくたちが小さいころに読んでいた絵本が、今の子どもたちにも人気があって。
『ねずみくんチョッキ』だって発売されたのは、ぼくが生まれるよりも前ですからね。
ページをひらくたびに、子どものころの記憶がよみがえってくる。
大人になって、自分の子どもと同じ絵本を読んで共有していく。
想いが重なって「特別」になっていくんですね。
そんな「特別」を絵本ソムリエとして、みんなに届けられたらいいな。
以上、世代をこえて愛され続ける名作絵本『ネズミくんのチョッキ』のご紹介でした。
おしまい。
*1:トーハン「ミリオンぶっく2018年版」のデータを元に記載しています。
ねずみくんのチョッキを どの、誰の立場から 面白い・楽しい・良い本だと評価されているのですか?
とても不愉快な本であるということを認識して、いじめの被害者・加害者・傍観者・・・・様々なことを考える本として使っています。
コメントありがとうございます♪
当ブログ絵本さんぽでは、個人的に読んで「おもしろい!」と思えた絵本を紹介しています。
読む人によっていろんな読み方や感じ方ができるのも絵本の魅力のひとつです。
なので、どんな読み方もありだし自由だと思いますよ。
『ねずみくんのチョッキ』は40年以上も読まれているロングセラーの絵本です。
絵本の賞を受賞していたり、たくさんシーリーズ化もしています。
それだ評価を受けているのは、何か感じるところがある作品だからなのではないでしょうか。
横からコメント失礼します。
いろんな読み方ができる思いますけど、私は素敵な絵本だと思いますし大好きです!
2歳の息子もお気に入りで何回も何回も読んでますよー。